社会に不適合な二人の
おふろでおじゃま
私と弟は小さい頃から一緒にお風呂に入っていました。
小学生の頃だったように思いますが、中学校に入ってからもやっていたような記憶があるような気がします。
一緒にお風呂に入っていましたが、普通の家のお風呂なので二人も一緒に体を洗えるスペースも用具もありません。
しかし、体を洗わないうちに湯船に入るのは継母からきつく叱られていました。
そこで、私たちは場所分担をすることにしました。
片方が体を洗っている間は、片方は湯船にいることにしたのです。
最初に片方が洗っている間は片方は先に足だけを洗って湯船に足だけを突っ込んでいました。
夏はそれで良いのですが、冬も同じことをしていたので、体も洗えず湯船で待っている方はガタガタ震えて、
「はやくして、はやくして。」
と急かしていました。
そして場所を交代して、もう一人も体を洗い終わると二人で湯船に浸かっていました。
小さい頃とはいえだいぶ狭かった記憶があります。
何を話していたわけではありません、ただ肩まで浸かって100まで数えていたような気がします。
「1、2、3、4、5……」
「78、79、80、81……」
片方は先に入っていたのですぐに出て行ってしまいます。
一人いなくなると湯船にゆっくり広く浸かれるようになります。
それでもいつも、弟が出て行った後私は早く100を数えようと急いでいました。
――――
[一緒に体を洗えるスペース]…シャワーとか蛇口とかある分、湯船より狭い。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮