社会に不適合な二人の
わざとやった
今は根暗のなまけものの私でも、小さい頃には活発な時期もありました。
家の中で弟と遊んで襖にぶつかったり、ガラスの引き戸にぶつかって大きな音を立てていました。
そのたびに祖父母に怒られていたのですが、祖母はその前に一言私達に聞いてました。
「わざとやったの?」
その頃の私は、「わざとやる」の意味を知らなかったのですが、祖母の言い方からわざとやってない方が良いのだと何となく感じました。
弟は叱られたとき悪びれて「ううん」と首を振ると、祖母は許してくれました。
それを見た私は何故か、むしろ「わざとやった」と言ったらどうなるのだろうと心奪われたのです。
「こら、またふざけて!わざとやったの!?」
「うん!」
怒られました。それまでにないくらい怒られました。
私は「わざとやった」の意味は分かりませんでしたが、
「わざとやった」と応えない方が良いことと、興味本位でやらない方が良いことは理解しました。
――
[わざと]…わざわざとかそう言う意味。「わざわざ」と言い換えてもきっと分からなかったです。
[ふざける]…子供が浮かれて騒ぐさま。これも意味が分からなかったです。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮