社会に不適合な二人の
勝手知ったる観光地
弟は旅行に行ったのですが、金がないので単身旅行などではなく、当地に住んでいる親戚の家を頼りました。
その親戚とは、幼い頃から親しい親戚なので、特に気兼ねをする仲ではないので、家に尋ねるのは気軽なものです。なので、観光地高山へ旅行と言ってもよく知ったところなのです。
「ところでさ、高山でなにか美味しいもの食べた?」
「あー、キムチ鍋?」
「キムチ鍋美味しいよね。じゃなくて、それ高山じゃなくて良いじゃん。」
「家で食べただけだから。出した人に言えよ。」
「どっか食べに行かなかったの?」
「金ないし。」
「何しにいったの?」
「観光?」
「じゃあ、高山どうだったの?」
「雪降ってた。」
「山だからね。」
「寒かった。」
「冬だからね。」
「なんかじろじろ見てる人が居た。」
「観光地だからね。」
よく知ってる場所とはいえ、何しにいったんでしょう。この弟は。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮