社会に不適合な二人の
素面で言えず、酔っても言えず。
私は結構な引っ込み思案で、人を目の前にするとろくすっぽ言葉が出てきません。大切な話をしようとしたら、素面では一ヶ月ぐらいはぐだぐだと言うか言うまいかを悩み続けて、言うべきタイミングをとっくに逸してると言うことがよくあります。
お酒を飲むと、ようやく人並みに言いたいことが言えるようになる感じがするので、大切な話をするときに、お酒を一緒に飲むことをきっかけにしたり、気合いを付けるためにお酒を飲んだりすればいいかとか思って実行してみますが……。
これは、父親に電話をするために、酔おうと弟と酒を飲んだときの話。
「お酒があるんだけど一緒に飲まない?」
「良かろう。」
小一時間後。
「やっぱり、一番デザインが良いのはターンエーガンダム。」
「だねー。」
「あれは、昔分からなかったけど秀逸だよ。」
「だねー。」
「……もう、お酒無いな。」
「だねー。じゃあ、私部屋に帰るわ。」
「のし。」
「じゃ。」
(ああ、もう今日はどうでもいいや。)
酔いすぎて、大事なことさえどうでも良くなってしまうことがままあります。
――
[ターンエーガンダム]…おひげのガンダム。
作品名:社会に不適合な二人の 作家名:春川柳絮