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遅くない、スタートライン 第3部 第1話 9/16更新

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話は前後するが、俺の書下ろしのドラマが放映された。もう、カフェのテレビの前で樹家一同と俺達夫婦・諒君達で放映時間前から椅子に掛けて待っていた。今回のコンセプトは美裕がモデルだけど、女子高校時代から始まり、製菓専門学校に入学し苦労しながらもパティシエとして成長する女子の物語だ。美裕のパティシエ時代をそのままマネしたわけではない。美裕の話・加奈ちゃんの話も聞いて俺なりに物語を考証した。製菓監修には美裕の名前と加奈ちゃんの名前を載せた。また俺は音楽監修と合わせて、7年ぶりの新曲をリリースし主題歌とした。挿入歌にカップリングの曲も入れ、ドラマの初回放映が終わったら今日の午前0時に、音楽サイトや検索サイトで一斉に公開されることになった。

テレビの前のセンター席に俺が陣取り、その両サイドに美裕・千尋さんが陣取った。有ちゃんがボリュームを上げた。あと10秒で放映だ!ロケは今年の1月から始まり、主人公の女子のオーデションから始まった。主人公に関連する人物は、俺は同期の月岡耕太に出演依頼をした。耕太のスケジュールはドラマが決まった時点で確認しラッキーなことに、耕太は出演してくれることになった。その他出演者も俺が1人ずつ交渉した。初回はパティシエとしてショップを切り盛りするシーンがトップに出てきた。このショーケースのスィーツは、美裕と加奈ちゃんが自ら焼いてくれて、加奈ちゃんはマシュマロでオリジナルスィーツを製作し、美裕はマカロンでお城を製作した!これがまたいいデキで、テレビのカメラマンもいい具合に撮ってくれた。

また、ドラマの所々に美裕と加奈ちゃんが出てくるんだ。製菓専門学校の講師陣としてVTRに出演し、ケーキを製作しているシーンだ。これもいいできだ!俺はドラマの進行もよくチェックしに行った。書下ろしだけ渡してドラマ現場にあまり行かない作家もいるが!俺は初めてのドラマ化だから熱も入ったさ!

放映時間は初回は90分だった。2回目の予告が流れて、ドラマモデルの美裕と俺が画面に登場した。台本通りだが、俺が美裕にパティシエ時代や現役のカフェスィーツのオーナーとして10分ほどの対談だが、後のランキングでドラマの後の対談が好評だった。千尋さん達もドラマが終わってから、椅子から立ち上がって拍手をしてくれた。またすぐに電話が鳴り、諒君が対応した。

「ま、MASATO先生!局のプロデューサーですよ!すっごい興奮してる声だ」
俺に受話器を渡した。諒君も興奮度が感染したのか、声が上ずっていた。

俺達はカフェのテーブルをくっつけて、シャンパンで乾杯した。番組終了後に局への問い合わせや公式HPの書きこみ、SNSサイトもたくさんの書き込みがあった。俺は美裕と結婚した時は、自分のブログにはご報告と写真1枚しか載せてなかったが。翌朝のスポーツ新聞でデカデカと載せてくれました。

【作家・歌手のMASATOさん!ご結婚・ご入籍!ドラマモデルのパティシエさんと!!】
って書いてあった。どこで誰がしゃべったのか、大体想像つくけどさ。ホント…同期ダチの南真吾が言う通り芋づる式だった。美裕との出逢いも俺は身内しかしゃべってないのに!

ま、もう済んだことはいいさ。また…午前0時には音楽サイトのウェブページを1時間前から開けて、美裕は俺のクリップビデオをリアルタイムで見るんだと言った。アンタさ…明日仕込みで4時起きでしょ?はよぉ…寝ろよ!俺がこの前DVDを渡したでしょう?

「だってリアルタイムで見るから、意味があるんだよ」と、自分の執筆用のデスクトップパソコンの前に貼りついてた美裕だ。俺も何回も自分のクリップビデを見ているが、言われてみればそうかもしれない。美裕と一緒に見ることにした…


その日は美裕がカフェに出勤しようとした時に、リビングの電話が鳴った。普段なら固定電話にかかってくるはずもないのに。美裕はコードレスを持ったまま、俺を片手で揺り起こした。いつもならこんな力入れないのに!

「ま、マサ君!!起きて!!社長から電話よ!」その声に俺は目が開いた。

マサ君が現実の世界に戻らないまま、マネージャーの三ちゃんがきてVANに押し込んでしまった。三ちゃんは私に「大丈夫だから、心配しないで」といい、ドアを閉めて車を発進させてしまった。

「ほ、ホント大丈夫なの?マサ君」
現実の世界に戻してからじゃ…対応が遅いのね?三ちゃんのあの慌てよう…私は胸が痛くなったが、仕込みもあるのでカフェに行くことにした。また…カフェに入った途端に私のスマホが鳴った。なんと…あきとくんだった。あきとくん、バァバに聞いたのかな?

「パパにおめでとう!っていってね。みひろちゃん」と言ったあきとくんだ。リアルタイムで聞かせてやりたかったな。たぶん、あきとくんはパパであるマサ君のスマホに電話したけど、繋がらなかったのだろう。だから、私のスマホに電話してきたんだ。前にパパの電話がつながらない時はみひろちゃんにかけるってことになったから。私はあきとくんのキッズ携帯に自分の番号を登録したのだ。キッズ携帯はマサ君が契約してあきとくんに持たせたのだ。これから連絡を取ることもあるので!

俺は現実の世界に強引に戻された。誰に戻されたと思う?竜生兄貴だ。思いっきり俺のケツを指でつねってくれた!痛さに絶叫した俺だ。しばらく痛くて椅子に座れなかったぞ!竜生兄貴は俺のスマホを手に持って…こう言った。
「これで完全に目覚めてくれ!」と…

スマホから聞こえたのは、あきとの声だった。またあきとの声の後に、美裕の声も聞こえた。2人とも俺に「頑張れ!」と言ってくれた。
「あきとくんは、お前のスマホに電話したけど出なかったから、美裕ちゃんに連絡したんだ。美裕ちゃん機転が利くね!もう一度あきとくんに電話して通話を録音したんだ。それをお前のスマホに転送してきたそうだ!な!三ちゃん」

三ちゃんはうんうんとうなづいた。

俺は深呼吸をしてドアを開けた。今から…記者会見だ!行ってくるぜ!美裕・あきと!