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マル目線(後編)]残念王子とおとぎの世界の美女たち

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(そうだったの!?)

王様の言葉に、王子は再び頭を垂れる。

「せっかくご用意いただいたご縁をお断りしてしまい、申し訳ありません。」

そんな王子の肩に王様は手を置くと、悪戯な笑顔で顔を覗きこんだ。

「よほど気にくわなかったのか?」

王子は首を左右にふって、否定する。

「いえ!…ただ…。」

そこで一呼吸おいた王子は、まっすぐに王様を見た。

「僕は、もう外見や身分だけで選ばれるのが嫌になったんです。お互いに心を通わせたいのに、みんな勝手に僕を好きになって、僕に媚びるばかり…僕自身を見てくれません。だから、心を通わせる前に好意を見せた女性は、お断りすることにしたんです。」

王様は一瞬驚いた表情をしたけれど、声を立てて笑った。

「そうかそうか、ついにおまえも遊び飽きたのだな!」

そして爺や様をみる。

「真面目に勉強し始めるのも、遠くはないぞ。」

その悪戯な微笑みに、爺や様も悪戯な笑顔を返す。

「生きているうちに、間に合いますかな。」

「さてさて。精々頑張るのだな。」

そして二人で声を合わせて笑う。

王子は耳を紅く染めながら、斜めに私をふりかえった。

私がニヤリと笑うと、王子もわざと拗ねた表情を見せながら微笑み返す。

謁見室は、そうやって和やかな笑いで満たされた。