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てっしゅう
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「空蝉の恋」 第十九話

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「ひょっとして・・・いや、ゴメン、そんなことないよね」

「そんなことあるよ・・・ウッそ、ハハハ~」

「ハハハ~、面白い人だ。本当は感性が豊かで、良く喋る女性なんだ、佳恵さんって」

「バレた?ネコ被っていたのよ、嫌になったでしょう?」

「これから先が心配になってきた・・・」

「そうよ。離れなくなったらどうするの?」

「死ぬまで一緒に居たい」

「徳永さん・・・」

再び唇が重なり合う。
それは今まで経験したことが無い、激しく長い時間になっていた。

恵美子から旅行の連絡が来たのは、徳永とのデートの翌日だった。
四人で行くと聞かされ、また泊りだと言われて迷った。
断る理由は和仁と同じ部屋に泊まることはできないということだが、恵美子が自分と二人で泊まればいいの?と言ったら断れない。

私が返事にぐずれば、きっと女性と男性で部屋割りするというだろう。
そして、その時になって恵美子はさっさと康生さんと同じ部屋に入ってしまうような気がする。
事態が読める予想に断る理由を見つけようとしていた。

再三の誘いにもう断れないような状況になっていた。
部屋は男女別々を信じるしかなかった。
四人を乗せた康生のプリウスは中央高速を北へ走り、松本インターで降りた。
国道158号線を上高地方面に走り、途中から山道に入り目的の白骨温泉に到着した。

宿泊先は温泉街から少し離れた乗鞍高原に向かう林道沿いの「泡の湯」
この辺りでは一番大きな露天風呂がある。そしてそこは混浴で人気がある白濁した天然掛け流しの温泉だ。

「今度はみんなでゆっくりと浸かろうね」

和仁はそう言った。
私は康生さんが一緒なので恥ずかしいと感じた。
それにここのお風呂は浴衣とかバスタオルを巻くのは原則禁止になっている。
小さいタオルだけで入浴しなければならない。

白濁しているとはいえ、じっと見ると透けている。
恵美子の後ろについてゆっくりと女性専用の出入り口から湯船に入った。
先に入って手招きしている和仁と康夫のところまで行くには、何組かの人の前を通り過ぎて行かないといけなかった。

胸が見えないように首までお湯に浸かりながら腰をかがめてゆっくりと歩いて行く。
夕方になって少し薄暗くなって風も出てきた。
ぬるいお湯は長めに入らないと身体が温まらない。やっとの思いで二人の前に着いた。

「もっと熱いかと思ったけどぬるいわね」

「露天だからそう感じるんだよ。丁度いいんじゃないの、話が出来るから」

私は、自分の方をじっと見つめている男性の視線が気になっていた。
前の時も堂々と立って前を歩かれたり、今度も変な予感がする。そして、この予感はピッタリと当たっていた。