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遅くない、スタートライン第2部 第5話 8//27更新

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(8)

俺はまた…今度は美裕のカラードレス姿にフリーズして、今度は有ちゃんにお尻を叩かれて現実の世界に戻された。有ちゃんは俺を現実に戻してから、美裕のカメラと自分のアイフォンで何枚も美裕1人の後ろと前と横…俺も入れてくれてツーショットも撮ってくれた。
「MASATO先生は色彩感覚もすごいねぇ。美裕ちゃんがこのカラーよく似合うの知ってた?」
「うん。いつもシンプルなモノトーンだけどさ、意外とブラウンとか、ペパーミントグリーンとか似合うんじゃないかと思ってさ。美裕の顔の写真をドレスに当てはめたりしたら、このカラーが一番良かったんだ」
「正解正解!美裕ちゃんは普段モノトーンとか多いけど、時々ママ(千尋さん)が自分が昔に着ていたワンピとかスカートとか、それもオレンジ系とかライトパープルとか着せて、着せ替えごっこしていたよ。もっと華やかなカラー着なさいって」
美裕は自分の着ているカラードレスを見ながら言った。

「そうそう…私は昔から千尋さんの着せ替え人形だったわ。モノトーンを着ていたのは組み合わせが楽だったからよぉ。MASATO先生はあれも着て見てこれも!ってフィッテイングルームに持ってきて…私が着たことのないモノを持ってくるのよ」
有ちゃんが言うには、美裕はこんな事を言ったけど嬉しそうな顔をしていたと、後で俺に言った。

ドアの前に今度は、俺の腕を掴んで立った美裕だ。ペパーミントグリーンのカラーでヘアサロンはサイドで生花のカスミソウとミニバラをアレンジした花たちを飾った。ブーケも同じカスミソウとミニバラで作った。これは舞子さんお手製だった。俺は健太郎さんに舞子さんを紹介してもらった時に、舞子さんから名刺をもらったのだ。名刺の肩書を見てビックリしました。自分でお店開いてるんだ!フラワーショップとフラワーアレンジメント教室もしてて、カフェのオープンの時に華やかに花たちを飾ってくれた。俺達の結婚式が決まった時に、カラードレスの時のブーケとブーケトニアとトップドレスを自分にさせて欲しいと言ってくれた。美裕は喜んだよ…舞子さんの作るブーケやフラワーアレンジメントが好きだから!またこれからは舞子さんのお世話にもなるからな!カフェには花はいつも置きたいからと言ってた美裕だ。

ドアがちょっとだけ開いて、副校長が俺達の姿を見て…
「おぉ…美しい!MASATO先生はもう鼻の下伸びてるんだな。うん、MASATO先生もよく似合ってるよ。グレーのタキシード」
「も!ですか、ありがとうございます。副校長!もう仕掛けはないでしょうね?」俺はジロッと副校長を睨んでやった。
「さぁ、知りません。私は司会者ですから」と言ってドアを閉めた。

美裕は俺の顔を見て…
「今度は何なの?マサ君」と言った。
「さ、さぁ…な」俺はこう答えるしかなかった。

ドアが開いたとともに、聞こえてくるのは…マサ君が絶好調時代の時に歌った【ブルーメモリー】だった。大好きだった…この歌!マサ君が唄えないので、バンド仲間のユーキさんが唄っていた。また歌のサビの部分でマサ君に向かってマイクが飛んできたのはビックリした。マサ君に後で聞いたら、ライブの時によくマイクが飛んできたと言った。サビの部分を私の肩を抱いて歌ったマサ君だ。もう…招待客から冷やかしの声と声援が飛んだ。私も涙が出そうになったが、招待客と一緒に笑ってしまった。

また…私達はウェディングケーキの入刀を最後にした。それとマサ君が外注したのか、キャンドルサービスをせずにウェディングケーキの横にハート型のキャンドルが飾ってあった。キャンドルの上には私達の名前と今日の日付が書かれていた。また副校長が私達のそばに来て、加奈ちゃん達もケーキの前に来た。あぁ…お願いしたんです。入刀が終わったらカットして、招待客に食べて帰ってもらおうと思って、加奈ちゃんと諒ちゃんに頼みました。

「では最後になりましたが、ウェディングケーキの入刀とキャンドルの点火をお二人にお願いします。またこの時にフォトタイムも設けますので、みなさんお写真一杯撮ってあげてくださいね。では、雅人さん・美裕さんお願いします」
バンド仲間の演奏がまた始まった。今度の曲は俺のデビュー曲の【ムーンライト】だった。また演奏の途中でユーキがこう言った。

「美裕さん!雅人よろしくね!デカイ図体してるけど、お調子者で小心者だけどさ。ハートはだれよりもピュアだよ」と…
またうちの千尋さんと健太郎さんにもマイクが回り…

「雅人さん!うちの妹よろしくお願いします。超泣き虫でわがままで甘ったれですけど」
「雅人さん!どうか末永く妹をよろしくお願いします」千尋さんと健太郎さんは頭を下げた。

俺達はうなづき、美裕の手の上から俺の手を重ね…ウェディングケーキの入刀をした。拍手と歓声がカフェの庭に響いた。そして俺達は横のキャンドルに2人で点火をした。点火すると下のキャンドルから火が灯り一番上のキャンドルまで順番に点火していった。俺と美裕は忘れないだろう…このキャンドルの点火のように、1つずつ俺と美裕は一緒に人生を歩んでいくことを。

招待客が石畳の小道を下って、玄関の前で俺と美裕は引き出物の紙袋とミニブーケを手渡した。俺が引き出物で美裕がミニブーケを、そして千尋さんと健太郎さんがミニボトルワインが入った袋を手渡し、招待客にお礼を言ってくれた。

最後の招待客が玄関を出て、有ちゃんと大樹君と舞子さんが玄関の外で招待客を見送ってくれた。終わった…俺と美裕の結婚式が!

招待客に祝ってもらって、またご近所の方からもブーケや電報も届いた。後で俺と美裕はお礼に引き出物を持っていくつもりだ。

「終わったね!良かった…みなさん喜んで頂けたみたいで」千尋さんが美裕の前髪を指でなおし…
「ホントいい人前式とパーティだった。マサ君お疲れさん」雄介義兄さんが俺の肩を揉んでくれて…
「ねぇねぇ!最後にセルフタイマーでみんなで写真撮ろう!その写真さ…現像してマサ君のご両親・うちの親達に見せてやろう」
と…健太郎さんが言った。

大樹君がカメラを構えて…
「みぃちゃん!もっと雅人さんに寄り添って。雅人さん!みぃちゃんの腕引っ張ってあげて」
俺は美裕の腕を軽く引っ張った。どうやら…美裕は普段履かないハイヒールに足が痛いみたいだ。さすが千尋さんの息子!気がつく!

「みんなぁ…笑ってぇ!よしゃ」大樹君は走りこんできて、有ちゃんの横に並んだ。数秒後にシャッター音が聞こえて、俺達…家族は最初の家族写真を撮った。千尋さんところに挨拶に行った時に、千尋さんと雄介義兄さん・健太郎さんが俺に言ってくれたことがあった。

「もう…うちの家族だからね!妹の美裕と結婚するってことは…家族になることだよ」って。俺はこの言葉がとても嬉しかった。15歳で親父が殉職し、病死したお袋の顔も覚えてないし…俺は孤独だと思っていたから。


美裕は俺の手を握ってくれて…こう言った。
「ずっとずっと…そばにいてね。私もマサ君のそばにいるよぉ…うちの千尋さん達もね」と…俺は目が潤み思わず指で目を押えた。有ちゃんが美裕の手に自分のハンカチを渡した。美裕は俺の目を軽く押さえてくれた。