④銀の女王と金の太陽、星の空
口元にコップを押し当てられ、強引に医師に水を飲まされる。
「ん!」
入ってきた水を吐き出そうとしたけれど、それは思いがけずとてもおいしくて、ごっくんと飲み込んだ。
「おいしいですか?」
シワだらけの顔をよりしわくちゃにしながら、医師が微笑む。
私は頷いて、コップの水を飲み干した。
その水はレモンの香りと微かな酸味があって、飲むと胸の不快感が和らぎ、少し体が楽になった。
「さ、ベッドまで歩けますかな?診察しますので、頑張ってくださいよ。」
言いながら、年老いた小さな体で私を支えて立たせてくれる。
慌てて女官が両脇に入り、支えてくれる。
私は女官たちの手を借りながら、ベッドへたどり着き、そのまま倒れこんだ。
「さ、他の者は出ていなさい。」
医師はそう言って人払いをすると、ベッドにうつ伏せに横たわる私の背中を優しく撫でてくれる。
「空様と離れて、一ヶ月が経ちましたな。」
そして一呼吸あけて、思いがけない事を言った。
「空様はお子を授けてくださったようじゃ。よろしゅうございましたな。」
作品名:④銀の女王と金の太陽、星の空 作家名:しずか