③銀の女王と金の太陽、星の空
私は二人の前に座ると、二人の手を取り、きゅっと握りしめた。
「一緒に、弔いましょう。」
私の言葉に、太陽と将軍が涼を仰向けに直す。
するといつの間に用意したのか、銀河がカモミールティーを持ってきた。
「涼の一族のやり方では淹れれなかったけど香りだけでも…。」
銀河の細やかな配慮に、思わず私も涙が溢れそうになった。
(処刑した罪人の前で、王は泣いたらいけない…!)
私がぐっと奥歯を噛み締めて涙を堪えていると、空がそっと私の耳朶をつまんだ。
その指の温かさに、心が落ち着いていく。
私は胸の前でそっと手を組むと、皆で一斉に声を揃えて涼の弔いをした。
これで王族の暗殺も解決した…。
ようやく内政と外政の安定に着手できる安堵と、今回の事件が身分制が原因で起きたことを考えると、王という立場を改めて考えさせられた。
(私は、空を愛してしまった。)
空と将来も共にしたい。
もう離れることは、できない。
でも、そうなるとまず身分のことをクリアしなければならない。
今回の事件で、空が王族の血をひいていることがわかったのは、とてもありがたかった、
けれど、空は将軍の子どもといっても、太陽よりも更に立場は悪い。
太陽は、母親が平民というだけでも、この20年辛い思いをし、また涼も傷つけられてしまい、王族の暗殺という大きな事件にまで発展した。
それが空は母親が娼婦という職業柄、将軍の子どもと誰もが納得できる証拠集めがまず必要となり、更に成人して王族へ加わることが前例がないため、それをどうやってクリアするか…。
まだまだ問題は山積していた。
作品名:③銀の女王と金の太陽、星の空 作家名:しずか