幸せの青い鳥
「あはは。でも、そうでもしないと、この世界ではお金を稼いでいけないんだ。僕の仕事は、有名人の行き過ぎた悪事を暴いて、悪を裁く事。悪を懲らしめる為なら、相手が何だろうと、方法が何だろうと関係ないよ。だって、正義は必ず勝つんだから」
「せいぎはかならずかつ!」
「かつ!」
子供らは、僕の放った言葉を真似る様に呟いていた。
「あはは、それなら一つだけ私と約束してくれるかな――私を一生、愛してくれますか?」
僕は、すぐに言い返した。
「勿論、あなたを一生愛します。一生を懸けて幸せにします」
「よし、それなら良かろう」
「「ひゅーひゅー」」
子供らが、黄色い歓声を飛ばしている。
「――皆、ちょっと携帯見て良い? ちょっと確認したいネタがあるんだ」
嫁や子供らが「いいよ」と首を縦に振っていたので、僕もその画面を注視した。
「トクダネじゃないか」
咄嗟に声を出していた僕は、自ずと笑みを浮かべていた。
――この世は金と知恵と見た目、そして運。
ある程度の財力。勿論、これが大前提だ。
次に、それを生かすだけの知恵。今ある財力の付加価値を増やす事にも繋がり、次のビジネスチャンスの資金になり得る。
さらに、相手にとって不都合に思わない見た目。初めから正体を明かす事は、禁句に限りなく近い。
そして、運。取材対象に出逢えるか否かは、これに懸かっていると言っても良いのだ。
再び、僕はSNSを徘徊し始めた。
(了)