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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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ある音楽雑誌の撮影

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ある音楽雑誌の撮影


 今日は、トロント市内外で、「LOVE BRAVE」が音楽雑誌の撮影の日。今回はパーソナル企画ということで、メンバーがそれぞれ別の場所での撮影になる。ヴォーカルのフィルは、自身の本名「フィリップ」がギリシャ語で「馬を愛する」という意味の言葉が基になっていることにちなんで、オンタリオ州某所にある牧場を借りて撮影することになった。

 牧場スタッフの指示のもと、フィルは乗馬を始めた。馬にまたがり、凛とした眼差しでまっすぐ前を見つめるフィルの姿は、どことなく洋装の殿様のようにも見える。そのような凛々しい彼の姿を、カメラマンはしかとカメラに捉えた。
 広い乗馬スペースを2周したあと、フィルは馬から降り、
「ありがとう。おつかれさま」
 と言うと、自分を乗せた馬に餌の人参を与えた。そのあと、その馬の顔や頭、さらに体側と背中をなでた。そのときのフィルの顔は、とても優しかった。カメラマンは、馬をかわいがる彼のショットを何枚も撮った。

 最後に、フィルが馬の体側にもたれて立つショットと、馬の横に立ち、片手で馬のあごに触るといったポーズのショットが撮られた。彼は爬虫類と鳥類以外の動物を基本的に好きなので、終始撮影を楽しんでいた。


 ギターのヒューゴは、自身の名前「ヒューゴ」が古代ノルド語(ノルウェー語)で「賢明さ」を意味していることにちなんだ光景での撮影をした。まずは、トロント近郊のとある公園に立つ大木にもたれて座り、哲学の本を読むヒューゴの姿がカメラに収められた。
 このとき、彼は銀縁の眼鏡(度なし)を着用し、「あまり難しい顔をしないで」というスタッフの指示を受け、やや穏やかな顔をして小道具の本に目を通していた。途中で1回、ヒューゴは片手で眼鏡の端に手を当てて本を見つめた。カメラマンは、
「知的そうですねえ〜」
 などと言いながら、何度もシャッターを切った。

 次に、撮影チームはトロント市内にある某スタジオに移動し、実験室を模したセットの中での撮影を始めた。ここでは、ヒューゴは白衣をまとい、黒板の前に立って科学の本を読むポーズをした。大人の魅力あふれる中にも「ロック」の雰囲気を忘れない彼には、何気に白衣が似合っている。カメラさんは、
「ヒューゴさん、科学者風の格好も様になってますねえ〜」
 と褒め、数枚のフォトを撮った。
 
 続いて、机に座って視線を斜め上にやって考えるポーズをするショットや、黒板に数式を書くポーズのショットが撮られた。なお、書いた数式をヒューゴ本人が理解していたかどうかは、読者の皆様のご想像にお任せする。
作品名:ある音楽雑誌の撮影 作家名:藍城 舞美