吸出し
昔々、将軍様の奥医者の下の下ぐらいの身分の老医者がおりました。
幕府のさる重役の方から、内々である娘の具合を診て欲しいと頼まれ、約束の時刻になり娘は侍女をともに連れて籠に乗って現れました。
老医者は娘と侍女を用意していた個室に通しますと、さっそく娘に問診を始めました。
まず、娘に代わって侍女が説明をしました。
身分氏素性はあかせないのですがさるご病気で内々に診て頂きたい。と話しました。
娘は、二十五、六か色白で目鼻がすっと整い口元愛らしく、その美しさは申し分ありませんでした。
(はて?こんな美しい娘が、何処が具合悪いものか?)と老医者は考えました。
娘はモジモジして恥ずかしそうに侍女の顔を見ておりましたが、娘は意を決したように、正座していた両膝を前に出し、着物の裾から白い太ももを出しますと、両膝を大きく開いて見せました。
白髪頭の老医者もさすがに一瞬、驚きましたが、両ももの奥にどうやら腫れて膿がたまっているようなできものがあるのが診てとれました。内々で診察を頼んだ理由がすべてのみこめました。
娘は、「恥ずかしい所を先生にお見せしたからには、私のすべてを先生におまかせいたします。私の治療をお願い申し上げます。」と泣く泣く訴えました。
老医者といえども、まだ色気ごころが残っている男でしたから、娘の言うことも、気の毒と思いながらもつい先日連れ合いを亡くしたばかりの寂しさもあり、(この病気を良くした折りは、ひとつこの娘を我が物にしてやろう。)と、不埒な考えを抱きました。
娘に、「御恩を御返ししたく、先生のお側にお仕えしたいと存じます。」と言われると、益々白髪頭の老医者も、やる気が出てきました。
(さても、このできものの膿を吸い出さなければ成らないのだけれど。この膿の毒が身体に入ってどんな禍が、この身にかかるやもしれん。
せっかくの寿命を縮めるのも、馬鹿馬鹿しい誰か代わりのものに、先ずはこの娘の膿の毒を吸い取らせなければ、ならんのだが?さて、どうしたものか?そんな、命しらずの馬鹿者がいるものだろうか?)
お嬢様の治療は人目を気にしての事もありますので、お嬢様が婆やと暮らしております業平の寮で行う事になりました。
白髪頭の老医者は、業平の寮に籠で出張してまいります。
老医者は、できものの膿を吸い出すやり方を、お嬢様と婆やに教えました。できもののてっぺんに口を吸い付け膿を吸い取る。
吸い取った膿は、飲み込まず紙に吐き出し、後、口の中を強い焼酎でうがいする。これを、毎日膿が溜まらなくなるまで繰り返す。
と、教えはしたものの、肝心のその膿を吸い取る者がなかなか見つからない。
寮に出入りする商いの者たちに、いろいろかまをかけて、適当な者を選んでおりますところに、呼ばれてやって来ましたのが、貸本屋の秋助という男。
この男なら、適当な者だわ。と選ばれました。
秋助はお嬢様の喜びそうな本を選んでは、寮にもってまいります。
本をもって行くだけで、お嬢様と婆やさんは、秋助を大変機嫌よく迎え入れます。
歓迎されれば、秋助も悪い気はいたしません。
自分の話しなどもいたしましす。芸術論や評論ですね。
自分が好きな本の事や、自分も将来は戯作者になってこんな話しを書いてみたい。
とか、秋助も得意になって話しております。あげくには、お酒とご馳走まで出されまして、秋助は大得意、
お嬢様に話しもだいぶ大きくなって聞かせております。
お嬢様も、寮で退屈にしていますから、秋助の話しを笑いながら聞いている。
婆やさんは、そろそろ頃合いと、お嬢様は別室でお色直しをするために部屋を出ていきます。婆やさんは、
秋助に、内緒でとお嬢様の隠された病の事を悲劇的な脚色を加えながら話し始めます。
実は、お嬢様にはあるご病気がございまして、誠に気の毒な身の上なのでございます。
と申しましても、ある治療を施せば治らないというものではございません。
ただそれが、お嬢様にはひどく恥ずかしい治療でごさいまして、心許した者でなければ、絶対に許せない治療方法なのでございます。
秋助は酒も入ってますし自分がお嬢様にみそめられたと思ってますから、もう、やる気マンマンです。
なんならこの私で良かったらその治療のお手伝いをいたしましょう。と、とうとう名乗り出ました。
それを聞いて、お色直しを済まして、さらにお色気パワーアップいたしましたお嬢様が部屋に現れます。
秋助は、もう、やる気満々です。
「さあ、お嬢様、恥ずかしがる事はありません。あっしゃ、いったいどうすればいいんでしょう?」
お嬢様は、両膝を立てて着物の裾を開きまして、真っ白い太ももをあらわにいたします。
真っ白い両の太ももを、ゆっくりと広げまして、
「私の太ももの奥にある、できものの膿を吸い取って頂きたいのです。」と、可愛らしく頼みます。
秋助は、思いもよらぬ展開に、何にもかんがえられず。
話しも聞かず、お嬢様の真っ白い太ももに向かって、まるで犬のように、むしゃぶりついていきました。
もう、口を焼酎で消毒する事も忘れて、お嬢様の膿をチュウチュウ吸い出し吸い付き吸い取り。
お嬢様は膿を吸い取ってもらい軽くなってくると、今までになく具合が軽くなるのを感じまた、気持ちが良くなっていくのを感じてまいりました。
秋助は最後に消毒用に用意した焼酎をゴクゴク飲んで、酔っぱらって寝てしまいました。
次の日もまた、次の日も、膿が溜まると秋助は、膿を吸い取りました。
お嬢様は、益々気持ちが良くなり、秋助もなれてくると、お嬢様の大事なところを少しずつ、刺激し始めました。
ついにはお嬢様も、あまりの気持ち良さに、思わず声を出すようにまでになって行き最後に二人は焼酎を飲んで酔っぱらって寝てしまいました。
秋助の吸出し治療が三日を過ぎまして、お嬢様のできものの具合はだいぶ良くなって参りました。
白髪頭の老医者もできものの具合を見て、お嬢様の大事なところの様子もまじまじと見ながら、良くなったら自分がこれをものにしてやる。と思っていました。
秋助が、フラフラと町の中を歩いておりますと、後ろから一人のお坊さんに呼び止められました。
「御主の顔には、死相が現れている。」お坊さんは、秋助に言いました。
「つかぬことをお聴きしますが、あなたは最近女人と交わりを持たれたか?」お坊さんが、秋助にたずねると、秋助は、
「交わりは、まだ致しておりませんが、交わると何か良からぬ事がございますか?」
お坊さんに、たずねました。
お坊さんは、「おそらくその女人は、妖怪怨霊の類いに違いない。御主がその女人と交われば、御主の魂はあの世に持って行かれてしまうかもしれません。」と答えました。
「どうすれば、いいんでしょう?」秋助が聞くとお坊さんは答えました。
「私が、ありがたい呪文を、御主の身体に書いてしんぜよう。さすれば、その女人からはそなたの姿は見えないはずだ。
ただというわけにはいかんが、今日のところは仏の慈悲安くしておきましょう。」
と、五十文とられて、秋助の全身には墨で呪文が書かれました。
秋助が、お嬢様の寮に戻って参りますと、お嬢様は大喜び。早く治療をして欲しくてたまりません。
幕府のさる重役の方から、内々である娘の具合を診て欲しいと頼まれ、約束の時刻になり娘は侍女をともに連れて籠に乗って現れました。
老医者は娘と侍女を用意していた個室に通しますと、さっそく娘に問診を始めました。
まず、娘に代わって侍女が説明をしました。
身分氏素性はあかせないのですがさるご病気で内々に診て頂きたい。と話しました。
娘は、二十五、六か色白で目鼻がすっと整い口元愛らしく、その美しさは申し分ありませんでした。
(はて?こんな美しい娘が、何処が具合悪いものか?)と老医者は考えました。
娘はモジモジして恥ずかしそうに侍女の顔を見ておりましたが、娘は意を決したように、正座していた両膝を前に出し、着物の裾から白い太ももを出しますと、両膝を大きく開いて見せました。
白髪頭の老医者もさすがに一瞬、驚きましたが、両ももの奥にどうやら腫れて膿がたまっているようなできものがあるのが診てとれました。内々で診察を頼んだ理由がすべてのみこめました。
娘は、「恥ずかしい所を先生にお見せしたからには、私のすべてを先生におまかせいたします。私の治療をお願い申し上げます。」と泣く泣く訴えました。
老医者といえども、まだ色気ごころが残っている男でしたから、娘の言うことも、気の毒と思いながらもつい先日連れ合いを亡くしたばかりの寂しさもあり、(この病気を良くした折りは、ひとつこの娘を我が物にしてやろう。)と、不埒な考えを抱きました。
娘に、「御恩を御返ししたく、先生のお側にお仕えしたいと存じます。」と言われると、益々白髪頭の老医者も、やる気が出てきました。
(さても、このできものの膿を吸い出さなければ成らないのだけれど。この膿の毒が身体に入ってどんな禍が、この身にかかるやもしれん。
せっかくの寿命を縮めるのも、馬鹿馬鹿しい誰か代わりのものに、先ずはこの娘の膿の毒を吸い取らせなければ、ならんのだが?さて、どうしたものか?そんな、命しらずの馬鹿者がいるものだろうか?)
お嬢様の治療は人目を気にしての事もありますので、お嬢様が婆やと暮らしております業平の寮で行う事になりました。
白髪頭の老医者は、業平の寮に籠で出張してまいります。
老医者は、できものの膿を吸い出すやり方を、お嬢様と婆やに教えました。できもののてっぺんに口を吸い付け膿を吸い取る。
吸い取った膿は、飲み込まず紙に吐き出し、後、口の中を強い焼酎でうがいする。これを、毎日膿が溜まらなくなるまで繰り返す。
と、教えはしたものの、肝心のその膿を吸い取る者がなかなか見つからない。
寮に出入りする商いの者たちに、いろいろかまをかけて、適当な者を選んでおりますところに、呼ばれてやって来ましたのが、貸本屋の秋助という男。
この男なら、適当な者だわ。と選ばれました。
秋助はお嬢様の喜びそうな本を選んでは、寮にもってまいります。
本をもって行くだけで、お嬢様と婆やさんは、秋助を大変機嫌よく迎え入れます。
歓迎されれば、秋助も悪い気はいたしません。
自分の話しなどもいたしましす。芸術論や評論ですね。
自分が好きな本の事や、自分も将来は戯作者になってこんな話しを書いてみたい。
とか、秋助も得意になって話しております。あげくには、お酒とご馳走まで出されまして、秋助は大得意、
お嬢様に話しもだいぶ大きくなって聞かせております。
お嬢様も、寮で退屈にしていますから、秋助の話しを笑いながら聞いている。
婆やさんは、そろそろ頃合いと、お嬢様は別室でお色直しをするために部屋を出ていきます。婆やさんは、
秋助に、内緒でとお嬢様の隠された病の事を悲劇的な脚色を加えながら話し始めます。
実は、お嬢様にはあるご病気がございまして、誠に気の毒な身の上なのでございます。
と申しましても、ある治療を施せば治らないというものではございません。
ただそれが、お嬢様にはひどく恥ずかしい治療でごさいまして、心許した者でなければ、絶対に許せない治療方法なのでございます。
秋助は酒も入ってますし自分がお嬢様にみそめられたと思ってますから、もう、やる気マンマンです。
なんならこの私で良かったらその治療のお手伝いをいたしましょう。と、とうとう名乗り出ました。
それを聞いて、お色直しを済まして、さらにお色気パワーアップいたしましたお嬢様が部屋に現れます。
秋助は、もう、やる気満々です。
「さあ、お嬢様、恥ずかしがる事はありません。あっしゃ、いったいどうすればいいんでしょう?」
お嬢様は、両膝を立てて着物の裾を開きまして、真っ白い太ももをあらわにいたします。
真っ白い両の太ももを、ゆっくりと広げまして、
「私の太ももの奥にある、できものの膿を吸い取って頂きたいのです。」と、可愛らしく頼みます。
秋助は、思いもよらぬ展開に、何にもかんがえられず。
話しも聞かず、お嬢様の真っ白い太ももに向かって、まるで犬のように、むしゃぶりついていきました。
もう、口を焼酎で消毒する事も忘れて、お嬢様の膿をチュウチュウ吸い出し吸い付き吸い取り。
お嬢様は膿を吸い取ってもらい軽くなってくると、今までになく具合が軽くなるのを感じまた、気持ちが良くなっていくのを感じてまいりました。
秋助は最後に消毒用に用意した焼酎をゴクゴク飲んで、酔っぱらって寝てしまいました。
次の日もまた、次の日も、膿が溜まると秋助は、膿を吸い取りました。
お嬢様は、益々気持ちが良くなり、秋助もなれてくると、お嬢様の大事なところを少しずつ、刺激し始めました。
ついにはお嬢様も、あまりの気持ち良さに、思わず声を出すようにまでになって行き最後に二人は焼酎を飲んで酔っぱらって寝てしまいました。
秋助の吸出し治療が三日を過ぎまして、お嬢様のできものの具合はだいぶ良くなって参りました。
白髪頭の老医者もできものの具合を見て、お嬢様の大事なところの様子もまじまじと見ながら、良くなったら自分がこれをものにしてやる。と思っていました。
秋助が、フラフラと町の中を歩いておりますと、後ろから一人のお坊さんに呼び止められました。
「御主の顔には、死相が現れている。」お坊さんは、秋助に言いました。
「つかぬことをお聴きしますが、あなたは最近女人と交わりを持たれたか?」お坊さんが、秋助にたずねると、秋助は、
「交わりは、まだ致しておりませんが、交わると何か良からぬ事がございますか?」
お坊さんに、たずねました。
お坊さんは、「おそらくその女人は、妖怪怨霊の類いに違いない。御主がその女人と交われば、御主の魂はあの世に持って行かれてしまうかもしれません。」と答えました。
「どうすれば、いいんでしょう?」秋助が聞くとお坊さんは答えました。
「私が、ありがたい呪文を、御主の身体に書いてしんぜよう。さすれば、その女人からはそなたの姿は見えないはずだ。
ただというわけにはいかんが、今日のところは仏の慈悲安くしておきましょう。」
と、五十文とられて、秋助の全身には墨で呪文が書かれました。
秋助が、お嬢様の寮に戻って参りますと、お嬢様は大喜び。早く治療をして欲しくてたまりません。