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遅くない、スタートライン第2部 第1話

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(6)

マサ君はそれから、低姿勢で私のご機嫌を伺いながら目的地まで連れて行った。何なの?いったい…この低姿勢なマサ君ってば。いつもなら、自分で運転するのに、マサ君のマンションの前にVANが停まり、マサ君に手を引かれてVANに乗り込んだ私だ。また、VANの運転席とリアシートは仕切られていて、ドライバーさんの顔を見えない、またマサ君も私の手を握ったまま、窓の外を見ていた。何を企んでるんだ?この作家先生は "(-""-)"

「どうぞ…お手を」目的地に着いたみたいで、マサ君が先に下りて私の手を引いた。
「ありがとうございます。で、ここはどこですか?」
「もうちっと先まで歩いてから、お話しますの」と私の手を引き、石畳の道を歩き出したマサ君だ。

5分ほど歩いただろうか?マサ君が私にこう言った。
「俺が手を引くから、目をつぶって歩いて。お願いだ…みぃちゃん」
何なのぉ?いったい…ま、言われたから目をつぶりますが。

「眼を開けていいよ。どうぞ」マサ君の声に私は目を開けた。

私の視界に入ったのは、2階建ての建物だった。
「誰の家?」
「誰の家だと思う?」はぐらかした?私の問いを…
「レンタル?」
「違うぅ!いいから入って入って!」私の手を引っ張った…マサ君だ。

家の中を見てビックリした。外装とは内装の差にまた驚いてしまった私だ。外装は打ちっぱなしのコンクリート壁で、内装は純和風の部屋とオフホワイトの壁に囲まれた、アイランドキッチンのあるリビング兼キッチンがあった。また大きな窓と、和室の部屋は障子張りだった。一見、アンバランスな感じがするが。壁のカラーと床の色などは関連性のある色合いにしたのか、間取りなども工夫されていて、いい内装だった。

「すごい…和と洋のマッチングに!あぁ…あのアイランドキッチンはグラビアで見たことある。調理台もある!」
私はマサ君の手を離して、キッチンに歩き出していた。


俺はリビングのソファに腰をかけて、キッチンにいるみぃちゃんを見ていた。嬉しそうだ…連れてきてよかった。さて、もう少ししたらここに連れてきた目的を言わなきゃ…これからずっと使うからさ。


「え…仕事場なの?MASATO先生のセカンドハウスかと思ったわ」
俺はみぃちゃんにコーヒーカップを手渡した。
「セカンドハウスにしようかと思ったんだけどさ、今のマンションの俺の仕事部屋1部屋しかないんだ。みぃちゃん…よかったらここで作家の仕事しないか?俺のアシスタントもしながら、みぃちゃん3月にカフェオープンするんだろ?今の家から俺のマンションまで、カフェ終わってから来れるか?ここなら逆方向だけど、自転車でカフェから来れるだろう。俺もその方が都合がいいんだ」
「うーん。それは考えてました。バス停7個はちょっと自転車で遠いかと思ってました」
「だろ?俺も近々あのマンション売りに出すよ。で、ここに住み替える。みぃちゃんと家も近くなるしさ」
私が返事をしないので、いや驚きすぎて返事できなかったのだ。マサ君が私の腕を軽く引っ張りこう言った。

「少しでも長くみぃちゃんのそばに居たいんだ。もっと近くで…これから多忙になるみぃちゃん…家が遠いとますます逢う時間が減るから」
そう言って、マサ君の手は私の背中を軽く抱きしめてまた言葉をつないだ。

「俺とさ…作家業とカフェやりながら、一緒に歩いて…いや一緒に第2のスタートラインに立たない?」
「そ…それって、その」みぃちゃんの顔が赤くなった。
「うん。プロポーズしてます。これだけ波長の合う女…みぃちゃんが初めてだ。返事は今すぐでなくていいよ!よく考えて…っと」
みぃちゃんが俺の腰に手を回して、俺の胸に顔を付けた。そして腰に回した手に軽くとを入れた。これって…

「いいの?私で…」あ…耳真っ赤だ。みぃちゃん…
「私でじゃない。みぃちゃんだからこそ、俺はこんな行動に出たんや」
みぃちゃんが顔を上げて、俺の顔を見た。
「ありがとう…マサ君!今…お返事していい?少ししゃがんで…マサ君は背が高いから」
俺は少し膝を折った。みぃちゃんの唇が俺の頬に軽く触れた。
「…よろしくお願いします。甘ったれでわがままだけど…」
「うん。小心者でお調子者の俺だけど、よろしくお願いします」

俺達は唇を合わせた…そしてお互いの両手を指をつないで握った。