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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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デビュー前夜に…

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 明日、いよいよ俺が「LOVE BRAVE」に入って初めてのライブの日を迎える。人生の新しい一歩を踏み出すんだ。
 でも……正直、俺は緊張してる。これまで親しい人たちの前でだけギターを弾いてた俺に、大勢のファンの前で演奏できるだろうか…。ステージの上で紹介されたとき、どんなふうにご挨拶をすればいいか……。ベッドに入ってもなかなか眠れず、寝転がったまま左右に動くだけだった。

 そうやってうだうだしてると、母さんが最近はまってるインセンス(日本で言うお香)の香りが、俺の部屋にまで入ってきた。甘くてきれいな香りが俺の緊張をほぐしてくれたのか、俺はとろんとして、そのまま眠りに落ちた。

 気が付くと、俺の周りには真っ白な空間が広がっていた。
(何だろう、この空間…)
 そう思いながらふと前を見ると、1人の若い男の人が立っていた。その腕に、スズランの花束を抱えて。
 俺はその人が誰なのか、すぐに分かった。
「父さん…!」
 彼は、俺を見るとほほ笑んで一度うなずいた。俺は何だか懐かしく感じて、父さんに駆け寄った。

 しばらく2人で見つめ合っていると、父さんは持っていたスズランの花束を俺に差し出して、
「この花束を、おまえにやろう」
 と言った。俺はすごくうれしくなって、迷わずそれを受け取った。白く可憐なスズランをじっと見たあと、お礼を言うために顔を上げた。
「ありが…あれ?」
 どういうわけか、さっきまで居たはずの父さんの姿はなかった。俺は、何も言えず立ち尽くしていた。
作品名:デビュー前夜に… 作家名:藍城 舞美