ツイスミ不動産 物件 X
しかし一方、ご主人が弾けきってる状況にあって、御内儀はまったく無表情で、「あそこで私たち亡くなったら終の棲家はゴーストシップ、まさに幽霊船でありんすね」と。
不動産屋の二人にはその白けてる理由がわかる。
要は、主婦の興味はお値段。
すぐに課長が部下に目配せする。これを受け、紺王子宙太が湖面にさざ波が立つほど声を張り上げた。
「中古幽霊船物件、筏ホームのお値段は……、980万円!」
さてさて、みな様なら――買いますか?
作品名:ツイスミ不動産 物件 X 作家名:鮎風 遊