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てっしゅう
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「空蝉の恋」 第四話

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ひとり東京駅のホームで列車を待っていた。
昨夜の光景がまた頭に浮かんだ。娘が大学生になったぐらいの夫婦とは、たとえムードがあるホテルに宿泊しても、普段とは変わらない気持ちで過ごしてしまうのだろうか。そうだとしたら、自分は普通とは違う思いを抱いてしまっているのだろうか。

夫が見ている世界と自分が見ている世界は日本とアメリカぐらい離れてしまっていると感じた。贅沢だと言われても、そんなことで文句なんか言っちゃダメよと言われても、専業主婦でお金も使えるなんてそんな生活してて罰が当たるわよという声が聞こえても、普通の暮らしがしたいと思う。

私も働いて、夫を助けて、少ないお金でいいから二人で美味しいものを食べに出掛けたり、映画を見たり、たまには温泉へ一泊旅行したりして楽しい人生だと感じたい。
もう週末に東京へ行くのが嫌になってしまった。
週が変わって夫へメールした。体調がすぐれないので出掛けられないと伝えた。
夫からは、自分がこちらへ来ると返事があった。

土曜日の午後に帰って来た夫は、その日の夜私を求めた。
体調が悪いと伝えているのに何というわがままなんだろうかと怒れた。
じっと我慢して迎え入れようとしたが、まったく濡れないのでむりやりの夫に対して、「痛い!」と小声で言うと、「我慢しろ」と語気を強めて言われた。

「本当なら一緒について来て暮らすことが妻の役目だろう。お前の自由にさせているのだから、もっとおれに気を使えよ」

奉仕しろと言われたみたいでカチンときた。

「あなたはご自分で選択されたのですよ。私が何か不満を言いましたか?」

「お前の態度そのものが不満に感じるんだよ。夫婦はこういう時は仲良くするのが常識だよ」

「こういう時って、あなただけの都合じゃないんですか?」

言ってはいけないと思いながら口走ってしまった。

「もういい!来週から来なくていいぞ。おれも帰らないからお前の好きにしろ。その代わりどうなっても怒るなよ」

「どうなってもなんてひどい言い方をされるのですね」

「お前が酷いことを言ったんだから、言い返しただけだ」

「ホテルでは寝てしまったのに、今日はそんなことを言われるだなんて納得がゆかないです」

「なに?お前は淫乱か?」

「夫婦のことを話しているのに、淫乱とか言わないでください!」

「女は男のリードに任せればいいんだ。昔からみんなそうだろう?女が求めるのは淫乱だからと言っているんだ。違うのか?」

「昔はどうであれ、今の気持ちを言いたかっただけです。私があなたを求めたことが今までありましたか?ホテルでも寝ているあなたを起こして求めたりしなかったでしょう?」

「当たり前だ。でも心の奥にそういう気持ちがあったから今こうしておれに言ったんだろう?違うか?」