花火と一番星にお願いを。
中から星のネックレス(もしくはペンダント)とキーホルダーが出てくる。
男 お誕生日おめでとう!
女 星のネックレス…かわいい…。
男1 普段使えるようにネックレスと、学校にも付けてこれるようにキーホルダー。
女 うれしい!ありがとう!
ピンが女を照らす。男1ストップモーション。
女 まって。普通にうれしいんだけど…。物で釣られるような軽い女だと思われたくないけど、あたし…。
ピン消える。男1ストップモーション解除。
男1 よろこんでもらえてよかった!
女 ほんとにありがとう…。
男1 あっ。もうこんな時間…。これじゃ間に合わないや…。
女 え?
男1 一緒に行こうと思ってた所、間に合わなくなっちゃった。
女 どこ?
男1 今日は何の日だかわかる?
女 今日?んー…あっ!
男1 わかった?
女 今日、夏祭りの日だ…。
男1 花火が綺麗に見える場所に移動しようと思ったんだけど、間に合わないや。
女 ここでも充分だよ。
男1 そっか。じゃあ花火の時間までお話しよっか。
女 うん…。
男1 …………喉渇かない?なにがいい?
女 じゃあ、アイスカフェオレ。
男1 おっけ!じゃあちょっと行ってくる。
男1飲み物を買いに行く、楽しそう。
女 なんであんな楽しそうなの、ウケる。……あたし(男1)君のこと好きになっちゃったのかな…。あ。一番星出てる…。
女に女友から電話がかかってくる。
女友、出てくる。
女友 あ。もしもし?そっちはどう?
女 まぁ。ぼちぼちって感じかな。
女友 なにそれつまんないのー。チューくらいしちゃえばいいのに。
女 バ、バカなこと言わないでよ!
女友 冗談だから。あれはもうもらった?
女 あれ?あぁ。ネックレスとキーホルダー?
女友 どう?なかなかかわいくない?あたしも選ぶの手伝ったんだよ。
女 え。そうなの?
女友 どうしたらいいかわからないから選ぶの手伝ってほしいって言われてさー、(男1)君の熱意に負けて手伝ってあげたの。一生懸命選んでてかわいかったよ。
女 そ、そうなんだ。
女友 あ、そうだ。夏祭りは行くの?あたしと(男2)は行くけど。
女 え。あんたたちまだ付き合ってたんだ。意外。
女友 まぁ。後で色々話聞かせてよ。じゃーねー!
女友、電話を切って去る。
女 いきなり切らないでよ…。
男1、戻ってくる。
男1 お待たせ。意外と混んでてさー。
女 おかえり。
飲み物を飲みつつ談笑するが、どこか落ち着かない女。
男1 そろそろ花火打ち上がるよ。
女 花火とか見るの何年ぶりだろ…。
数発の花火が打ち上がる。
男1 綺麗だね。
女 だね。
男1 (女の名前)。俺と付き合ってくれない?
女 えっ…?
男1 同じクラスになってからずっと(女の名前)のことが好きだったんだ。
女 …。
男1 急にこんなこと言われて迷惑かもしれないけど。どうしてもこの夏祭りの日に告白したかったんだ。
女 ごめん、あたし…。
男1 そっか。やっぱりダメだよね…。
女 違う!違うの。あたし…(男1)君のことよく知らないのに勝手に嫌ってた。今日来たのも(女友の名前)に言われて仕方なく来ただけ!でも…今日一緒に過ごしてわかったの。あたし!あたし!!(男1)君のこと好きになっちゃったの!だけど…こんなあたしなんか(男1)君には似合わないよ…。ごめん。
男1 …そっか。でもちゃんと言ってくれてよかった。このままOKしてもらっても嬉しくなかったと思う。それでも俺は(女の名前)の事が好きだ。
女 (男1)君…。あたしも好き。だけど…。
男1 (女の名前)泣いてるの?はい。これ。
ハンカチを手渡す男1。
女 そういう優しさずるいよ…。
男1 えへへ。
女 もう…。
男1 俺のことよく知らずに嫌ってたって言ったけど。俺も(女の名前)のことよく知らずに告白したんだからお互い様でしょ?
女 そう…なのかな?
男1 そうだよ。
女 じゃあ、こんなあたしでも(男1)君のこと好きになってもいいの?
男1 もちろん!手繋いでいい?
女 うん!
手を繋ぎ、笑顔になって寄り添う2人。
打ち上がる数発の花火。
幕が下りる。
作品名:花火と一番星にお願いを。 作家名:笹木 寛也