HAPPY BLUE SKY 婚約時代 7
婚約時代 7
1−6
俺と一美は諜報班があるフロアーの廊下を歩いていた。
「イキナリだぜ!部屋に行ったら有無も言わさず俺の手に進行表を渡して、何の言葉もなくさ。上官達が俺とダフリン中佐の顔を見て笑ったんだぜ」
「ま‥マジですか?そんなのアリですか?笑うなんてありえない」
驚いていた一美だった。
「だろう!ダフリン中佐じゃないけど、俺達はハメられたみたいだ。昨日の時点ではXXXX上官が総合司会者をする予定だったんだ。あんな超元気な人が急病なんかになるか?」
「‥それもありえないです。XXXX上官はファイン支部一の健康マニアですもん。入隊してから無遅刻無欠勤だと聞いてますから」
「だろ!あぁ‥一立野下士官じゃないけど、怒ったら腹が減った」
俺のその言葉に、一美は俺の顔を見て笑った。その笑った顔は、部下時代に任務が終わり、猛烈に腹が空き、ノドも乾いた時に俺と第1TOP達にした笑顔だ。一美の目は「何か食べたい・何か飲みたい」と俺達に訴えかけていた。
「‥だからカフェテリアに行こうか?立野下士官」
一美は言葉を発せずに、頭だけコクコクしてまた笑った。
カフェテリアでは‥周りにいたファイン支部のスタッフがまた口を押させて笑っていた。そうなんだ‥例のごとくって私じゃないわよ。クゥ中佐が猛烈な勢いで、モーニングを食べているので、ファイン支部スタッフが笑っているのだ。確かに職業柄‥不規則な食事だが、この頃は諜報業務より防衛大業務が多いので、1日3食はきちんと食べているはずなのに。また、クゥ中佐はモーニングを食べた後に、私に自分のIDカードを渡してこう言った。
「もう1皿モーニング取ってきてほしいな。立野下士官も食べていいから」
「わ‥わかりました。行ってきます」私はIDカードを持って立ち上がった。
どうやらクゥ中佐は、お腹が満たされたようだ。コーヒーを飲んでいる。
「食った食った‥あ、ソレ美味そうだな」
今度は私が食べている菓子パンを見て、少し笑った。私は菓子パンを手でちぎりながらクゥ中佐に渡して言った。
「あ‥あげますよ。まるで諜報班時代の私じゃないですか?そんなに頭と体力使ったんですか?」
クゥ中佐は、受け取った菓子パンを口につけた。
「うん。立野下士官と一緒だ。後で菓子パン分、お礼を返すよ。さて部室に戻るか。立野下士官も一緒に諜報1班来るか?大佐の海外公務土産の生チョコあるぞ。大佐付事務官からはダージリンクッキーだ。元先輩達が食べに来いって言ってたぞ」
な、生チョコとダージリンクッキー (*^。^*) (*^。^*)
私はその言葉を聞いて、クゥ中佐と一緒に諜報1班の部室に行った。
ソファでクゥ中佐の横に座って、私はミルク一杯のカフェオーレと生チョコとダージリンクッキーを食べていた。またこれらが超美味しく横のクゥ中佐の分も食べてしまった。
「ホント‥好きだね。甘いもん‥」
「スィーツは別腹だよな。立野下士官」
「横のフィアンセ様は怒らないんですか?」口々に少佐達はクゥ中佐に言った。
「わかりきったことだ。俺が文句言っても聞く耳ももたないし、セーブかけても笑いながら口に入れるからな。止めようもない」
クゥ中佐の答えに、諜報1班の先輩達は口も押えないで笑った。
「だって、食べていいって言ったじゃないですか?父上と執事さん達の前で、だから食べたのに」私が言うと、クゥ中佐にそばにあった雑誌で軽く頭を叩かれた。
「限度ってもんがあるんだ。うちのコック長のジィさんも悪いが、普通自分でセーブしな‥ッグ」
クゥ中佐の口を雑誌で塞いだのはアーノルド少佐だった。
「もぉ‥その馴れ合い聞き飽きました。続きはマンションに帰ってしてくだいさね。立野下士官!そろそろやめとけよ。今日のディナー食べさせてもらえないぞ。食べたかったらやめとけ」
私は1枚ダージリンクッキーを手に取り、自分のハンドタオルで口元を軽く拭いて立ち上がった。
「はぁい!これで最後にしますぅ。今日はコック長のスペシャルディナーとスペシャルスィーツ食べたいし、どーもご馳走様でした。ではこれにて」
ソファから立ち上がって、部屋を出て行った一美だった。一美の後をツィンダーとヨルが追っかけて行った。
「見たろ?俺は一美にナメられてるんだ。親父が一番甘いんだぜ」
同意なのか、他の部員達はうなづいた。親父の甘さは周知公認ってか?
廊下では、ツィンダー先輩とヨル先輩が口を押えて笑っていた。今頃、クゥ中佐がアーノルド少佐達にボヤいているのが手に取るようにわかったからだ。(私が言わなくてもわかってるらしい)
「一美ぃ!今日ボンバード家に行ったら、ケツ叩かれるぞ。顧問が見ていないところで」
「たぶんな。今からクゥ中佐のご機嫌取っておかないとヤバイぞ」
私は二人に向かって、両手の人差し指を自分のほっぺたを押して笑った。それを見た二人は顔を引きつらせながら言った。
「な‥何か特別な切り札でもあるのか?」
「クゥ中佐のご機嫌を1発で治せる自信があるのか?」
「な・い・しょ」唇に指を当てて、笑った私だった。
1−7
「一美‥アレは何だね?うちの息子は上機嫌に見えるが‥」
ソファでクゥはタブレットを見て、笑っていた。クゥの膝の上に前足を乗せて2本足で立っているコタロウも、クゥが笑っているので尻尾を振ってご機嫌だった。私はコック長がお皿にいれてくれたアイスクリームをスプーンですくいながら‥
「父上‥わかっててお聞きになっています?」
父上はうなづきながら、
「うん。部室でまた一美がスィーツ食べ過ぎで、クゥがぼやいてたとアーノルド少佐が教えてくれた。退社前に玄関であったんだ」
「だから、今ご機嫌治してもらってるんです。父上もみます?面白いですよ。ブツは‥」
私は父上の耳元で、コソッと話をした。
ボンバード家を出てから、クゥのマンションに行った。コタロウは玄関で足を拭いてもらったら、ダッシュでリビングに向かった。
「こらぁ!コタ‥走らないの!」
「コタぁ!夜だから静かにしろ。ベッドの中見てみろ!いいものがあるぞ」
コタロウは専用ベッド(クゥの家にも置いた)に潜り込んで、宝探しに夢中になった。
「しばらくは静かだぜ。ゴングの新しいの買ったんだ。そんなに易々とチーズでないから。一美さん、ちょっとおいで。タブレットの件で俺の機嫌が治ったなんて思うなよ」クゥが私の手を掴もうとした。
私は思わず後ずさりしたが、腕のリーチが長いクゥに手を掴まれてしまった。
「ふぅ‥」息を軽く吐いたクゥだ。
クゥは自分の前髪を手でかきあげた。そして私の肩を抱き寄せた。
「さっきまでは自分の方が有利だと思ったんだろう?俺は君のフィアンセでも元上官だからな。また4年間君の攻撃体勢見てるから騙されるもんか」
「ず‥ズルイよ。手掴んでから肩の上に担ぐなんて!レディ担ぐ?」
私はベッドの中で右手をワナらせた。
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俺と一美は諜報班があるフロアーの廊下を歩いていた。
「イキナリだぜ!部屋に行ったら有無も言わさず俺の手に進行表を渡して、何の言葉もなくさ。上官達が俺とダフリン中佐の顔を見て笑ったんだぜ」
「ま‥マジですか?そんなのアリですか?笑うなんてありえない」
驚いていた一美だった。
「だろう!ダフリン中佐じゃないけど、俺達はハメられたみたいだ。昨日の時点ではXXXX上官が総合司会者をする予定だったんだ。あんな超元気な人が急病なんかになるか?」
「‥それもありえないです。XXXX上官はファイン支部一の健康マニアですもん。入隊してから無遅刻無欠勤だと聞いてますから」
「だろ!あぁ‥一立野下士官じゃないけど、怒ったら腹が減った」
俺のその言葉に、一美は俺の顔を見て笑った。その笑った顔は、部下時代に任務が終わり、猛烈に腹が空き、ノドも乾いた時に俺と第1TOP達にした笑顔だ。一美の目は「何か食べたい・何か飲みたい」と俺達に訴えかけていた。
「‥だからカフェテリアに行こうか?立野下士官」
一美は言葉を発せずに、頭だけコクコクしてまた笑った。
カフェテリアでは‥周りにいたファイン支部のスタッフがまた口を押させて笑っていた。そうなんだ‥例のごとくって私じゃないわよ。クゥ中佐が猛烈な勢いで、モーニングを食べているので、ファイン支部スタッフが笑っているのだ。確かに職業柄‥不規則な食事だが、この頃は諜報業務より防衛大業務が多いので、1日3食はきちんと食べているはずなのに。また、クゥ中佐はモーニングを食べた後に、私に自分のIDカードを渡してこう言った。
「もう1皿モーニング取ってきてほしいな。立野下士官も食べていいから」
「わ‥わかりました。行ってきます」私はIDカードを持って立ち上がった。
どうやらクゥ中佐は、お腹が満たされたようだ。コーヒーを飲んでいる。
「食った食った‥あ、ソレ美味そうだな」
今度は私が食べている菓子パンを見て、少し笑った。私は菓子パンを手でちぎりながらクゥ中佐に渡して言った。
「あ‥あげますよ。まるで諜報班時代の私じゃないですか?そんなに頭と体力使ったんですか?」
クゥ中佐は、受け取った菓子パンを口につけた。
「うん。立野下士官と一緒だ。後で菓子パン分、お礼を返すよ。さて部室に戻るか。立野下士官も一緒に諜報1班来るか?大佐の海外公務土産の生チョコあるぞ。大佐付事務官からはダージリンクッキーだ。元先輩達が食べに来いって言ってたぞ」
な、生チョコとダージリンクッキー (*^。^*) (*^。^*)
私はその言葉を聞いて、クゥ中佐と一緒に諜報1班の部室に行った。
ソファでクゥ中佐の横に座って、私はミルク一杯のカフェオーレと生チョコとダージリンクッキーを食べていた。またこれらが超美味しく横のクゥ中佐の分も食べてしまった。
「ホント‥好きだね。甘いもん‥」
「スィーツは別腹だよな。立野下士官」
「横のフィアンセ様は怒らないんですか?」口々に少佐達はクゥ中佐に言った。
「わかりきったことだ。俺が文句言っても聞く耳ももたないし、セーブかけても笑いながら口に入れるからな。止めようもない」
クゥ中佐の答えに、諜報1班の先輩達は口も押えないで笑った。
「だって、食べていいって言ったじゃないですか?父上と執事さん達の前で、だから食べたのに」私が言うと、クゥ中佐にそばにあった雑誌で軽く頭を叩かれた。
「限度ってもんがあるんだ。うちのコック長のジィさんも悪いが、普通自分でセーブしな‥ッグ」
クゥ中佐の口を雑誌で塞いだのはアーノルド少佐だった。
「もぉ‥その馴れ合い聞き飽きました。続きはマンションに帰ってしてくだいさね。立野下士官!そろそろやめとけよ。今日のディナー食べさせてもらえないぞ。食べたかったらやめとけ」
私は1枚ダージリンクッキーを手に取り、自分のハンドタオルで口元を軽く拭いて立ち上がった。
「はぁい!これで最後にしますぅ。今日はコック長のスペシャルディナーとスペシャルスィーツ食べたいし、どーもご馳走様でした。ではこれにて」
ソファから立ち上がって、部屋を出て行った一美だった。一美の後をツィンダーとヨルが追っかけて行った。
「見たろ?俺は一美にナメられてるんだ。親父が一番甘いんだぜ」
同意なのか、他の部員達はうなづいた。親父の甘さは周知公認ってか?
廊下では、ツィンダー先輩とヨル先輩が口を押えて笑っていた。今頃、クゥ中佐がアーノルド少佐達にボヤいているのが手に取るようにわかったからだ。(私が言わなくてもわかってるらしい)
「一美ぃ!今日ボンバード家に行ったら、ケツ叩かれるぞ。顧問が見ていないところで」
「たぶんな。今からクゥ中佐のご機嫌取っておかないとヤバイぞ」
私は二人に向かって、両手の人差し指を自分のほっぺたを押して笑った。それを見た二人は顔を引きつらせながら言った。
「な‥何か特別な切り札でもあるのか?」
「クゥ中佐のご機嫌を1発で治せる自信があるのか?」
「な・い・しょ」唇に指を当てて、笑った私だった。
1−7
「一美‥アレは何だね?うちの息子は上機嫌に見えるが‥」
ソファでクゥはタブレットを見て、笑っていた。クゥの膝の上に前足を乗せて2本足で立っているコタロウも、クゥが笑っているので尻尾を振ってご機嫌だった。私はコック長がお皿にいれてくれたアイスクリームをスプーンですくいながら‥
「父上‥わかっててお聞きになっています?」
父上はうなづきながら、
「うん。部室でまた一美がスィーツ食べ過ぎで、クゥがぼやいてたとアーノルド少佐が教えてくれた。退社前に玄関であったんだ」
「だから、今ご機嫌治してもらってるんです。父上もみます?面白いですよ。ブツは‥」
私は父上の耳元で、コソッと話をした。
ボンバード家を出てから、クゥのマンションに行った。コタロウは玄関で足を拭いてもらったら、ダッシュでリビングに向かった。
「こらぁ!コタ‥走らないの!」
「コタぁ!夜だから静かにしろ。ベッドの中見てみろ!いいものがあるぞ」
コタロウは専用ベッド(クゥの家にも置いた)に潜り込んで、宝探しに夢中になった。
「しばらくは静かだぜ。ゴングの新しいの買ったんだ。そんなに易々とチーズでないから。一美さん、ちょっとおいで。タブレットの件で俺の機嫌が治ったなんて思うなよ」クゥが私の手を掴もうとした。
私は思わず後ずさりしたが、腕のリーチが長いクゥに手を掴まれてしまった。
「ふぅ‥」息を軽く吐いたクゥだ。
クゥは自分の前髪を手でかきあげた。そして私の肩を抱き寄せた。
「さっきまでは自分の方が有利だと思ったんだろう?俺は君のフィアンセでも元上官だからな。また4年間君の攻撃体勢見てるから騙されるもんか」
「ず‥ズルイよ。手掴んでから肩の上に担ぐなんて!レディ担ぐ?」
私はベッドの中で右手をワナらせた。
作品名:HAPPY BLUE SKY 婚約時代 7 作家名:楓 美風