小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

HAPPY BLUE SKY 婚約時代 6

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 

朝礼を終えた俺とダフリン中佐は、全隊員が行進しながらホールから出て行くのをステージ中央で見守っていた。また立野一美 下士官もミラド軍医も俺の横に居た。最後の部署がホールから出て行った。俺達3人は同時に息を吐いた。
「終わったぁ‥」
緊張の糸が切れたのか、3人ともその場でかがみこんでしまった。上官達がまだ席にいたらこんな事は絶対しないが。
「ったく‥朝礼の始まる1時間前に言うなよな。クゥ中佐だけかと思ったら俺も呼びつけられたんだぜ」
「ホントかよぉ?今日の総合司会者急病って。クゥ中佐‥ハメられたんじゃないのか?お前に事前に打診すれば断られるからな!」
「そ‥そうなんですか?クゥ中佐」私は思わずクゥ中佐の顔を見た。
ダフリン中佐がクゥ中佐の制帽を軽く手で叩いた。
「そ!コイツはそういうエリアは苦手で、任務にかこつけて断わりまくってるんだ。訓練校の卒業式の挨拶も逃げ‥‥グッ」
クゥ中佐がダフリン中佐の口を自分の手で塞いだ。私には聞かれたくなかったのだろう!片方の手でミラド軍医の口も塞いだクゥ中佐だった。
その件はマンションに帰ってから問い詰める事にした。今、問い詰めたら同期ダチも加担して、クゥ中佐をカラかうだろうから。

「あれ‥立野一美 下士官は一緒じゃないのか?」
部長室に入室した途端、お疲れ様の言葉もなく俺に投げられた言葉だった。部長室のソファーには訓練校の教官先生達に親父のボンバード顧問までいた。みんな何でいるんだ?
「いません!‥先生方!俺には一言のご挨拶もないんですか?」
ちょっと嫌味を言ってやった俺だ。(教官だからいいだろう!上司にはこんな事は絶対しないけど)
その時だった。部長がテレビのリモコンを操作し、テレビ画面が明るくなった。画面の中には、軍服姿の一美がいた。
「今日の会見インタビュー知ってたのか?フィアンセのクゥさん」
部長教官先生が俺の顔を見て言った。他の教官達も俺の顔を見た。
「はい‥ちょうどいい区切りだからって。俺にはそう言いましたが」
「そうか!ま‥一美下士官が決めた事ならな。まだ20代半ばだ。まだ色んな選択ができると思ったから、君も賛成したのか?」
「はい。一美下士官は、第2の夢に向かって頑張るそうです。結婚生活と両立させたいから、ご協力願いますと頭下げられましたが」
部長と大佐とうちの親父・ボンバード顧問は一美の第2の夢を知っていて、うなづいた。一美の第2の夢とは‥
会見インタビューで、少し赤くなりながらご報告をしていた一美だった。
「今日の会見はご報告なんです。今年になってから色々と考える事がございまして、来月の公式試合を最後に引退する事にしました。今まで応援して下さってありがとうございました」一美が記者達に向かって頭を下げた。
記者達から驚きの声が上がった。記者の1人が一美にインタビューした。
「来月の公式試合でってことは、一美さん!3月の世界選手権はどうするんですか?欧州で初の3連覇ですよ!」
また別の記者も一美に聞いた。
「失礼ですが、引退の理由を伺ってもよろしいでしょうか?」