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HAPPY BLUE SKY カッジュ新部署へ 1

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諜報1班の部室の中で昼休憩から戻ると、俺はミラド先生と部員に取り囲まれた。
「何か用か?俺に!」
ミラド先生が部員達にうなづいた瞬間‥
「ご婚約おめでとうございます!クゥ中佐」
クラッカーと歓声が鳴り響いた。何で知ってるんだ?コイツら‥
「何で知ってるんだ?って顔してるぞ」
「どこでバレたんだ?って顔もしてる」
「うんうん」部員全員は同意の意味でうなづいた。
その時に笑ったのが、マブダチのミラド先生だ。
「クゥ中佐ってプライベート面は顔と行動に出るんだな。そんなの見ていたら、誰だってわかるさ。昼休みにチマチマとネットでデートコースの検索してよぉ。カフェテリアの隅っこでボソボソとレストランのリザーブのお電話しちゃって。見たヤツが俺に教えてくれたぞぉ。お隣の中佐達だけど」
その声に部員全員がまた笑った。

俺はワナる手を押えながら、中間部下のサム・トーディがいないのに気づいた。
「中間部下のサム君・トーディ君がいないのだけど?どこ行ったんだ!!」
アーノルド少佐が笑いながら、天井を指さした。
「もう新部署の人間になったから、中村先生のご許可を得て連行しに行きました。フィアンセのカッジュちゃん」
「お‥おまえらぁ!!」
俺が声を張り上げて数秒後に、廊下でカッジュの叫び声が聴こえてきた。後は言うまでもない‥俺とカッジュは部員全員とミラド先生・部長や大佐まで入って尋問を受けた。

「はい‥では今からご機嫌取りに行ってください。部長がこれあげるって!後30分休憩時間あるから、奨励奮闘するようにって大佐がおっしゃっていますよ」
俺の手にカフェテリアのチケット(来客用)を3枚渡して、部室のドアが閉まった。
「く‥クゥ中佐!」手をワナらせるカッジュだった。
「ご‥ごめん!お怒りはごもっともです。でも‥ここでは怒ったら、またヤツらにネタを提供するようなものだ。とにかく行こう!」
俺はカッジュの手を引っ張り、非常階段のドアを押した。

俺とカッジュが行ってから、隣の諜報2班の窓が開いた。ガン首を並べて、ジョン中佐・ダフリン中佐・TOP2名が窓から顔を出してこんな事を言ってたそうだ。
「見たかぁ?」
「アイツ‥カッジュ怖いんだぜ」
「クゥ中佐はプライベートでは、カッジュに超甘って本当なんだ」
「超甘いけど、あのモンスターパワーのカッジュはプライベートでも怖いんだ」
「だからアイツはすぐ謝っただろう。今からカフェテリア覗きに行くか?テーブルにカフェテリアの全種類のスィーツ並べて、バクバク食べるカッジュを必死でクゥ中佐はなだめるんだ。わかりきってる事だけど!ミラド先生‥一緒に行くか」
またそこで、諜報第1班の窓が開きミラド先生が顔を出した。
「行きたいところだが、行ったら俺は今度は剣流会のオフィスで、カッジュにヤキ入れられるから。またこれ以上、クゥ中佐カラかったらマブダチやめられそうでさ。おまえら行かない方がいいぞ。カッジュのヤツ‥怒ってる時は無制限にスィーツ食べまくるからな。後でクゥ中佐にケツ蹴られるぞ!」
その声に中佐達は窓を閉めたそうだ。

剣流会のオフィスに帰ったら、中村先生と理事長先生の姿がなかった。
「所用があるって、二人そろって外出されましたよ」
デスクワーカーが私に言った。それも口に手を当てながら、どうやら笑いたいのをガマンしているようだ。私のデスクの上には謝罪のつもりか、ホテルのランチバイキングのクーポンが2枚置かれていた。
「これで謝罪のつもりぃ?足りないわね」
私は携帯電話を取り出し、中村先生にメールを送信した。後日、不足分のクーポンをもらった私だった。

その翌日から私の周りにまた異変が起きた。
私と中村先生は所用で外出をしていた。剣流会オフィスに帰って来ると、デスクワーカーの美樹ちゃんが言った。
「岡本さんと言う方からお電話がありましたよ!また電話しますって」
「岡本ぉ?どこの岡本さんですか?」
「岡本さんとしかおっしゃらなくて」
「そう‥用があったら、またかかってくるでしょう」
その時は私はあまり気に留めずにいた。来週からカリキュラムが始まるので、資料作りに忙しい私だったから。中村先生も忙しいのか、私と美樹ちゃんの会話は聞こえていないようだった。

数日後、私のマンションの周りでも異変が起こっていた。マンションは全部屋オートロックになっていて住居者はパスワードを入力する。ロック解除後、玄関の自動ドアが開いて中に入る事ができる。また入る時に在中の管理人によるモニターカメラでチェックされる。住居者以外の出入りは、事前に管理人に訪問を告げなければいけない。よって管理人が聞いていない来客は中に入れないのである。その管理人が私に言った‥その時はクゥの来訪を管理人に告げていたので、クゥは私の横に居た。コタロウのワクチンを動物病院で接種した帰りだった。またクゥが公休だったので、車で動物病院に連れて行ってもらったのだ。

「真田さんですか?」
「うん。カッジュさんはいますか?って。私は規律通りに【お約束はございますか?】って聞いたんだけどね、ないって言うからお答えしなかったんだよ。お知り合い?」
「いいえ‥知らないです。男性ですか?」
「うん。サングラスかけてたけど、初老って感じかな?あぁ‥智さんにもありましたよ。鈴木さんって‥この方はもっと若い方だったけどね。お心当たりはある?」
クゥが私の肩を軽く叩いた。私はクゥの顔を見て首を振った‥

クゥは管理人さんにこう言った。
「今度その方が来訪されたら、剣流会の中村先生か理事長先生に電話して下さい。二人ともご不在なら、俺の所に電話して下さい。この前記入した電話番号で」
「了解しました。物騒な世の中だからね!用心に越したことはないよ。私も気をつけるからね。カッジュさんも智さんも気をつけて」
「はい‥」私はコタロウのバスケットを握り締めて言った。

カッジュはキッチンでコタロウのフードを用意していた。
「カッジュ‥本当は心当たりがあるんじゃないか?」
「‥‥あの人かな?」
「まだ断定はできないがね。さとは知ってるのか?さっきの事‥」
「どうだろう‥さと君はここ3日程家に帰って来てないの」
「あぁ‥そう言えばXXX通りで大きな火災があったな。さとは今は救急センターに居るんだったな。ミラドも夜中に呼び出されたそうだ!そういや‥アイツも3日程顔を見てないな」
「‥‥話をした方がいいんだよね?私とさと」
俺はカッジュの頭を腕で軽く抱きしめてやった。

「うん。もし‥その人が親父さんならな。俺がついている‥中村先生も理事長先生もついてるから、ちゃんと話をしなさい。俺は前に言ったろ‥カッジュもさとも俺が親父さんの手から守ってやる。俺は約束を破った事があったか?」
カッジュは首を振った。
「うん。大丈夫だ‥日本に居た時の君じゃない。もうしっかり‥自分の足で歩いているんだ。親父さんを納得させる事だってできるさ」
「うん。頑張るよ‥ちゃんと父さんに話してみる。1度でわかってくれなくても、何度でも話してみる。そうすることによって、相手の考え方が変わるかもしれないって。クゥ中佐達は教えてくれたものね」
「あぁ‥誠意持ってだぞ」