「空蝉の恋」 第三話
東京で過ごす二日間は退屈しない時間ではあった。日曜日は夫といろんなところへ遊びに出掛けたし、時々社長ご夫婦と食事もご一緒した。
今日も夕食を一緒にと言われて都内のホテルで待ち合わせをしていた。
「内田君、待たせたね」
そう言いながら橋本社長は笑顔でやって来た。
奥様もご一緒だった。
「ボクたちも今来たところです」
夫はそう気遣った。
「そうか、なら良かった。今日は奥様素敵な服装ですね。お綺麗だから、とっても良く似合っていますよ」
相変わらずのお世辞が上手な人だと笑えた。
社長の奥様は確か歳上だと聞いている。だとしたら今年還暦ぐらいの年齢になる。自分より10歳上だと思うと信じられないほど若さを保っていると感心した。
「いつも内田がお世話になっています。今日はホテルでということでこんな服装で来ました。お恥ずかしいです」
「何を言われる、お世辞なんかで言いませんよ。内田君にも良く言うんですよ。綺麗な奥さんを悲しませないようにしないといけないって。なあ、そうだよな?」
「社長・・・勘弁してください。立ち話もなんなので中へ入りましょう」
夫は恥ずかしかったのかそう言うと急いでレストランへ歩き始めた。
フレンチのコース料理は久しぶりに食べた気がする。一流の味とはこういうものなのだろう。食後のコーヒーを飲みながら寛いでいると、急に社長が提案した。
「なあ、内田君。今日は素敵な夜だから、ここに泊まろうか?奥様もたまにはホテルに泊まりたいだろうし。どうかね?」
「ボクたちは結構ですから、社長はお泊り下さい」
「おいおい、そんなふうに言うんじゃないよ。さっき言っただろう?奥様を悲しませないようにしろって。聞いてなかったのかい?」
「聞いていましたよ。でもここに泊まるということとは関係ないと思いますけど」
「お前も女心が解らないやつだなあ~なあ、繁子、どう思う?」
繁子とは橋本の妻の名前だ。
「ええ、あなた。そうですわよね。内田さん、ご一緒されたら良いと思いますよ。ここは高層階からの眺めがとっても素敵ですよ」
夫は私の顔を見てから、橋本に返事を返した。
今日も夕食を一緒にと言われて都内のホテルで待ち合わせをしていた。
「内田君、待たせたね」
そう言いながら橋本社長は笑顔でやって来た。
奥様もご一緒だった。
「ボクたちも今来たところです」
夫はそう気遣った。
「そうか、なら良かった。今日は奥様素敵な服装ですね。お綺麗だから、とっても良く似合っていますよ」
相変わらずのお世辞が上手な人だと笑えた。
社長の奥様は確か歳上だと聞いている。だとしたら今年還暦ぐらいの年齢になる。自分より10歳上だと思うと信じられないほど若さを保っていると感心した。
「いつも内田がお世話になっています。今日はホテルでということでこんな服装で来ました。お恥ずかしいです」
「何を言われる、お世辞なんかで言いませんよ。内田君にも良く言うんですよ。綺麗な奥さんを悲しませないようにしないといけないって。なあ、そうだよな?」
「社長・・・勘弁してください。立ち話もなんなので中へ入りましょう」
夫は恥ずかしかったのかそう言うと急いでレストランへ歩き始めた。
フレンチのコース料理は久しぶりに食べた気がする。一流の味とはこういうものなのだろう。食後のコーヒーを飲みながら寛いでいると、急に社長が提案した。
「なあ、内田君。今日は素敵な夜だから、ここに泊まろうか?奥様もたまにはホテルに泊まりたいだろうし。どうかね?」
「ボクたちは結構ですから、社長はお泊り下さい」
「おいおい、そんなふうに言うんじゃないよ。さっき言っただろう?奥様を悲しませないようにしろって。聞いてなかったのかい?」
「聞いていましたよ。でもここに泊まるということとは関係ないと思いますけど」
「お前も女心が解らないやつだなあ~なあ、繁子、どう思う?」
繁子とは橋本の妻の名前だ。
「ええ、あなた。そうですわよね。内田さん、ご一緒されたら良いと思いますよ。ここは高層階からの眺めがとっても素敵ですよ」
夫は私の顔を見てから、橋本に返事を返した。
作品名:「空蝉の恋」 第三話 作家名:てっしゅう