HAPPY BLUE SKY カッジュの卒業
カッジュが部室を卒業します
私はいつも通りに出勤し、すぐにキッチンに入った。入隊した当初は、ここのキッチンは悲惨だった。そのキッチンを少しずつ片づけ、今は誰が見ても【綺麗なキッチン】にしたのだ。もちろん、私1人ではない‥ツィンダー先輩・ヨル先輩も巻き込んで掃除したのだ。今じゃ‥先輩達は自分が使ったマグカップや食器を洗い、クロスで拭き、元にあった場所に戻す事がちゃんとできる。またフロアーの掃除も、掃除機は毎日かけ、週1回はモップで床を磨き、デスクもソファもテーブルもクロスで拭く。それも当番制にした‥私達下っ端3人にモンド・クリスター・ウィル・カインズ先輩(下から数えて4−9番目の先輩)で3年間掃除してきた。誰もできない時は、その上の先輩達がやってくれた事もある。
今日もキッチンに入ったら、きちんと片付いていた。私はカップボードからマグカップを取り出し、コーヒーの用意に取りかかった。今日でコーヒーをドリップするのが最後‥心を込めてドリップした。
‥‥今日は静かだな。みんなマグカップに口を付けて時間をかけて飲んだ。カッジュがドリップしたコーヒーを味わえるのは今日が最後だからな。そういう俺も、いつもより時間をかけてコーヒーを味わっていた。
ドアがノックされた‥
「カッジュです。クゥ中佐!お時間ですよ」
俺はマグカップをデスクに置いて立ち上がった。今から、カッジュを連れて部長室に行く。カッジュは部長・大佐に退室の挨拶をする。
‥‥やっぱり泣いた。泣いているカッジュの頭を大佐が抱きしめた。また‥大佐も心なしか目が潤んでいる。カッジュが入隊した時、大佐はまだ中佐だった。先週に前大佐が定年退職で退官し、中佐が大佐に昇格した。
「泣き虫カッジュ!もう‥泣き止めよ‥ここでそんなに泣いたら、部室に帰ったら涙の大洪水になるぞ。ありがとう‥諜報1班のプリンセス・カッジュ」
またカッジュの頭をなでながら、部長と部長秘書が言った。
「私達も君にありがとうと言いたい。訓練校から来た時は、前少佐の元でどうなるか心配したがね‥君は頑張った。またうちの諜報1班の部員達も変わった。それもいい方向にな‥カッジュ!新しい部署でも頑張りなさい。君ならできる」
「カッジュぅ‥また新しい部署に行っても、こちらに来なさい。あなたは私の娘と同じよ。諜報班の男達は私の息子!ママはいつもこの部長室にいるわ」
カッジュはアンヌ部長秘書の胸でまた泣いた。28人の男の中でただ1人の女‥俺達には言えない事もあったと思う。アンヌ部長秘書はカッジュを身体的に支えてくれた。男の俺では無理な事もだ。俺もアンヌ部長秘書には心から感謝している。
俺とカッジュは部室に戻った。部長室でアイスシートを貼り、水分補給をさせた。また、アンヌ部長秘書からアイスシートとスポーツドリンクを持たされたカッジュだ。部長達もわかっている‥また部室でカッジュが泣いて、涙が止まらなくなるのを。
作品名:HAPPY BLUE SKY カッジュの卒業 作家名:楓 美風