小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

HAPPY BLUE SKY 後編5-4

INDEX|3ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 


2重スパイとオッサン2人は、やはり老体なのか段々と走るスピードが落ちてきた。特にハゲタコのオッサンは、巨体を揺らしながら今にも息が上がりそうだった。キツネヤローはまだ幾分マシか。2重スパイはハゲタコのオッサン以上に息を切らせていた。私はビルの螺旋階段に昇り3人を見ていた。この螺旋階段なら200m位までなら見渡せる。少佐が走って来たら、合図を送るためにこの階段で待機していた。ウィル主任は距離を置いて3人を尾行していた。

イヤホンマイクがつながる音がした。少佐だ!
「少佐ッ!3人は12時の方向に逃げています。ウィル主任が尾行中です!私は螺旋階段で逃走路を確認しています」
「わかった!今から3人を逮捕する!TOPと一緒について来い」
「はい!」私は螺旋階段から飛び降りて12時の方向に全速力で走った。

走って息が切れかけているオッサン3人に、少佐・TOP様達はすぐに追いついた。全員30代前半だ!また年中走ってるようなモノだから足も鍛えられている。息が切れても、ハゲタコ・キツネのオッサンは、少佐に悪態をついていた。また積年の恨みを口に出していた。少佐はその間、口を挟まずオッサン達の恨み言を聞いていた。何か考えがあっての事だな!アーノルド主任が言った。
「もう少し様子を見よう‥何か考えているぜ。少佐の事だから!」
3人のTOPも同意の意味でうなづいた。

少佐が腕組みを解いた。そして口を開いた‥
「恨み言はもういいか?もう逃げられないぞ。四方八方‥NATOC軍で取り囲まれているんだ。大人しく逮捕されろ!ハゲタコ・キツネのオッサンは、丁重にNATOC軍本部に搬送してやる。そこの陸軍大佐は本部で軍法会議だ!マシンガーを地面に置け!所持している銃器・ナイフ等も地面に置け!」

3人はスーツの中の銃器・ナイフを地面に投げ出した。投げ出した際に、地面に手をついたハゲタコのオッサンが最後の悪あがきをした。また、二人もそれに便乗して抵抗を始めた。少佐の頭を狙ったのか、ハゲタコのオッサンはそばにあった鉄パイプを振り回した。少佐は間一髪で避けたが、足場が悪かった。段差になっていた車輪止めブロックに足を取られた。ハゲタコのオッサンが鉄パイプを力一杯振り下ろした‥

俺の目の前には、オッサンが振り下ろした鉄パイプが真っ二つに折れて転がっていた。そして、オッサンは道路に倒れていた。一体‥何が起こったのか、俺は理解するのに少し時間がかかった。また‥キツネのヤローも2重スパイも道路に倒れていた。完全に失神しているように見えるが。TOP達が俺に駆け寄って来た!
「少佐ッ!大丈夫ですか?」
「ケガはしてませんか?」
「あぁ‥大丈夫だ。何が起こったんだ?一体‥」

TOP達は顔を見合わせてこう言った。
「動きが早すぎて、少佐は認識できなかったんですね」
「俺達も認識が遅れました」
「カッジュです。あれは神業ですよ」
「本人も驚いています」
ディック主査が指で右を差した。そこには、座り込んでいるカッジュが居た。それも放心している感じだった。俺はアーノルド主任に手を貸してもらって立ち上がった。鉄パイプが振り下ろされた瞬間‥もうダメだと思った。それをカッジュが体を張って助けてくれた。
「ありがとうな‥助けてくれて」
カッジュは俺の声に気づき、そして‥カッジュの目からは涙が溢れた。俺は頭を震わせて泣くカッジュの頭を腕に抱いて、自分も目尻を指で押さえた。
作品名:HAPPY BLUE SKY 後編5-4 作家名:楓 美風