HAPPY BLUE SKY 後編5-3
少佐ことドーリーは、自分の唇に指を当てて軽くうなづいた。例のキッドをONにして、マイクの音量を上げた。そしてワザと大きい声で、私の名前を呼んだ。
「ミサぁ!ノドが渇いたな‥コーヒー入れてくれないか?」
「はいはい‥もう少し待ってね。後プレート拭くだけだから」
私はキッチンからドーリーにクロスを見せた。ドーリーはキッチンにやってきて、横から私を抱きしめる。また‥顔をくっつけて、
「‥‥後でいいじゃないか。コーヒーも飲みたいけど、ミサとも仲良くしたいよ。この前いつだったか覚えてる?ベッドの中で5分も待てずに寝ちゃうんだからな!肩を揺すっても起きないしさ!僕は哀しかったよ」
「はいはい‥ごめんね。あの日は忙しくて疲れてたのぉ」
「よく言うよ。メグとマリーのお茶で喋り疲れただろう!」
「‥‥バレてたか。だって話題は尽きないのよ!旦那様の悪口大会で」
「そんな事だろうと思ったよ!じゃ‥悪口言った謝罪‥今ここで入れてもらおうか」
少佐はまた私にうなづく。私は軽く息を吸って‥
「き‥キャァ!何するのよ‥エッチ!」声を上げた。
「キッズがよくやる。スカートめくり‥な!いいだろう?寝室に行ったら、またミサはすぐ寝ちゃうんだ。ソファでメイク・ラブさせて」
「ど‥ドーリーったら!もぉ」ドーリーの笑い声がキッチンに響いた。
少佐はリモコンでキッドのボリュームをダウンした。先程の調査の時にリモコンを付けたようだ。さすが、パソコンに精通している少佐だ。こんなのは得意項目だ‥我が家に来る盗聴器や隠しマイクは、少佐の手によってすべて改造されている。ドーリーとミサの会話だけの時にボリュームをノーマルにする。後は自分達専用のメモパッドに【暗号文字】で書く。これも少佐が開発した物だ。用語を覚えてしまったら便利なアイテムだ。
ファイン支部のTOPと定期連絡を終えて寝室に戻ると、案の定‥カッジュはベッドの中で寝息を立てていた。夫婦が寝室を別にするのは不自然だから、別荘から帰って来た日から俺とカッジュは一緒の部屋で寝た。ダブルベッドを置いたが、カッジュはよく寝返りを打つので壁側に寝かせた。カッジュは部室でもそうだが、寝返りを打ってよくソファや仮眠ベッドから落ちたからな。その事を教訓して俺は初日から迷うことなく、カッジュを壁側に寝かせた。おかげで俺もグッスリ眠ることができた。
カンパニーのオフの時は、モノレールに乗って大きな街に出た。若夫婦ならではの【休日デート】を楽しんだ。ドーリーとミサを演じながらも、俺とカッジュはこの時間を楽しんだ。別荘から帰って来て1度だけマンションでカッジュを抱いたが、シャイなカッジュにはその時間を【ミサ】として演じる事は難しい様だった。それから俺はカッジュをマンションで抱かないようにした。だから‥休日デートの時にカッジュを抱いた。思い付きで入ったホテルに、すぐに盗聴器を仕掛けることは難しいし、俺はいつもバックの中に【盗聴器探し】のキッドを持っていた。部屋に入って調査してから、カッジュを抱いた。カッジュもキッドのマイナス反応を見て、安心するのか表情もアクションも変わる。
作品名:HAPPY BLUE SKY 後編5-3 作家名:楓 美風