HAPPY BLUE SKY 後編3
半年ぶりの再会
私はキッチンに入ってコーヒーをドリップした。入国する前にいつものショップに行って買ったのだ。この銘柄は少佐が一番好きな銘柄だった。そして‥いつもより丁寧に丁寧にコーヒーをドリップした。
「あぁ‥美味い!これが飲みたかったんだ。支部でもコーヒーは飲んでいたけどさ。俺の好きな銘柄じゃなかったんだ。また‥入れてもらって悪いが、ヘタクソでさ」
少佐はまた美味しそうにコーヒーカップに口をつけた。
「はいはい‥今から何杯でもドリップしますよ。後2番目にお好きな銘柄も5パック買ってきました。飲まれている銘柄は10パック買っちゃいました。マスターが目を丸くしてましたね!さすがに」カッジュは笑いながら俺に言った。
「ありがとうございます。カッジュさん‥もう1杯飲んでから仕事の話をするよ。今は堪能させてくれるか?この美味いコーヒーを」
「ラジャ!」カッジュは軽く敬礼をした。
仕事の話が終わって、少佐はコーヒーカップをテーブルに置いて軽く息を吐いた。そして‥私の手の上に自分の手を重ねた。
「カッジュ‥個人的に話したい事がある。聞いてくれるか?」
少佐の話とは入国前の話から始まった。キッチンで自分のした事を私に謝罪した。
「すまん。泣いているカッジュを見て、理性のコントロールができなかったんだ。自分でも信じられないけどな。でも‥これはだけ信じてくれ。理性はぶっ飛んでも、俺はいい加減な気持ちであんな事をしたんじゃない」
少佐は重ねた手を一度離し、また今度はその手で私の手を握った。
「カッジュは何で泣いたんだ?かすり傷だけど、俺にケガをさせたからか?」
今度は私が少佐に問われた。
少佐は自分の気持ちを素直に私に話してくれた。また‥私も少佐に自分の気持ちを素直に話すべきだよね?でも‥私はこういうシーンには慣れてないのだ。24歳だが、恋に対してはシャイだったから。
「気がついたら、目が熱くなって手が震えていました。少佐にケガをさせてしまった事もそうだけど。でも、こんな事を口に出してはいけない‥ッグ」
その時だった。少佐は私の口に軽く手を当てて、首を左右に振って
「そこから先は言うな。それは俺が言う事だ。聞いてくれるか?黙って聞いてくれるなら、この手を離す」私は少佐の言葉にうなづいた。
作品名:HAPPY BLUE SKY 後編3 作家名:楓 美風