HAPPY BLUE SKY 後編
カッジュ!C国へ【1】
C国で長期公務に入り半年が経った。思うように成果が上がらず、日毎に俺は心身的にナーバスになっていた。仕事柄、体力・精神力には自信があった俺なのに。自分自身では表面に出したつもりはなかったが、TOP4人に見抜かれてしまった。
ファイン支部では、TOPのビリー副主任・ディック主査の会談が開かれていた。
「俺達に見抜かれまいとしてさ、隠してるんだよな」
「俺達TOPに言ってくれたらいいのに!そういう所が水臭いって言うんだ」
「ホントだよな。でも、どうしたんだろう?こんな事今までになかったのにな」
「うん。あぁ‥この前さ!ヨルが言ってた事が関係してるのか?」
「もう片方も一見元気に見えるけど。【K】のデスクを見てため息ついてる」
少佐・私の事をTOP達は気づいているのだろうか?
海岸遠征を終えた私は、その数日後にD国で強化合宿に入っていた。この世界選手権が終われば、先半年間はオフだ。2年間活動し、リフレッシュの意味もあって支部長官・監督から許可を得てぶん取った休暇だ。本業のエージェントはもちろん活動しますよ。私もツィンダー先輩同様に、来春に昇格試験がある。その昇格試験を受験するには、数項目の研修を受けなければいけない。その研修先は少佐のいるC国だ‥研修は半年前から受講できることになっている。少佐にC国に呼んでもらえるかもしれない。自分の胸の中でささやかな期待を抱いていた私だった。
俺と同行しているTOP2名が交替で、ビリー副主任とディック主査が入国した。支部に着くなり、アタッシュケースから紙袋を俺に手渡した。
「寂しがってましたよ。いつもの励ましメール出さなかったんですか?」
「強化合宿行く前に、デスクの電話が鳴る度に聞き耳立ててました。その人物から貢物ですよ。DHL便で送ってきましたよ」
それはカッジュからだった。また俺の好きなアイテムを見つけて、開催国から送って来てくれたのだ。また、練習の合間に外出して買ってきてくれたんだな。ありがとう‥帰国したら、カッジュには礼をしないとな。俺は紙袋をアタッシュケースの中に入れた。
作品名:HAPPY BLUE SKY 後編 作家名:楓 美風