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HAPPY BLUE SKY 中編

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カッジュの転機【1】



部室では、アーノルド主任とツィッター主査が部員のスケジュールを書き込んでいる【ホワイトボード】を見て話をしていた。俺はその後ろでコピーを取っていた。

「カッジュ‥今はどこにいるんだ?」
「一昨日連絡があった時は、シドニーにいるって言ってたぜ。カッジュが公式試合に復帰してからもう1年だな」
「うん。1年前はビックリしましたね。少佐ぁ」
アーノルド主任は振り向かずに、俺に同意を求めた。

話は1年前に遡る。俺は正式隊員となったカッジュを鍛えた。最初の2ヶ月はビッシリ頭の中に俺が持っている【ノウハウ】を叩き込んだ。そしてその【ノウハウ】を生かせるように、応用力もカッジュにつけさせた。カッジュは俺が見込んだ通り、砂に水が吸収するように知識を蓄えていった。それには俺もTOP4人も驚いた‥また元ポリスと言う事もあって、機転が利いて状況判断が早かった。その時点でツィンダー・ヨルを以上のレベルだった。でもカッジュはソレを鼻にかけたりしなかった。

カッジュが隊員になって、3ヶ月目に俺はカッジュ・ツィンダーを連れて世界8国を回った。俺の仕事のサブにつけた。またTOP4人も交代で合流し、カッジュとツィンダーを更に鍛えた。世界8国を4ヶ月かけて回った。カッジュはよくついてきた‥俺とTOP4人の【教育】には男でも泣きが入るのに泣かなかった。弱音も吐かなかったな。4歳の時から厳しい練習をさせられ、泣いても止めてもらえなかったそうだ。そんな環境の中で育ったカッジュだ‥並みのヤツじゃないと俺とTOP4人は思った。また、カッジュが頑張れば頑張るほどツィンダーも頑張るから、二人とも俺の予想以上の評価を挙げた。

また、任務上の他支部との会合もある。その会合の時に、俺はカッジュをアシスタントとして同席させた。俺は男の部下しか採用しないと思っていたから、カッジュが俺の部下だとわかった時には、出席者からどよめきの声も上がったものだ。俺の同期少佐達は、初めてカッジュを見た時は鼻で笑った。
「女に務まるもんか!」と言った。俺も最初は思っていたが、小柄・細身のカッジュが見せる【モンスターパワー】を目の当たりにした同期少佐達は、口にくわえていたタバコを落とした。それだけ驚いたって事だ。それから、カッジュは同期少佐達の間でも【レンタル】の声がかかった。ま‥同期少佐だ。俺は数回だけカッジュをレンタルしてやった。

4ヶ月後に俺とカッジュ・ツィンダーはファイン支部に帰所した。4ヶ月の間に、カッジュの肌は日焼けして、髪もショートカットになっていた。途中で軍のバーバーで髪を切ったカッジュだった。ショートカットになったカッジュを見て口々に言った。
「もうどっから見ても」
「男だ‥いや、男の子だ」
その声に、部員達は笑い俺達も笑った。またカッジュ本人も一緒になって笑った。口に手を当てずに、笑い声をあげて笑った。この4ヶ月でカッジュは変わったのだ。4ヶ月寝食を共にした俺達とカッジュだ。色んな事がわかってくる‥また仕事の合間にも他愛もない【会話】もする。その時折にカッジュが自分の事を少しずつだが話してくれた。

作品名:HAPPY BLUE SKY 中編 作家名:楓 美風