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CROSS 第4話 『嫌な任務』

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第5章 気まずい出発



「……発進」

 ……山口少佐の小さな声がしたあと、ゆっくりと山口たち
を乗せた特務艦は発進した……。

 特務艦、特にブリッジは、何とも言えないドヨンとした重
い空気が流れていた。ブリッジにいたヘーゲルを除いた尉官
たちの視線は、じっと山口を向いていた。

「どうしようもなかったんだ! もちろん、俺も司令官に言
 ったさ。けど、全然聞き入れてもらえなかった!」
 山口は、そう休暇がなくなって元気が無くなっている尉官
たちに弁明した。だが、佐世保中尉はほおを膨らませ、
「せっかく、いい男の子の予約を取ったのに……」
「がまんしろ」
山口はきっぱりそう言った。3人の男女の少尉たちは、あき
らめた表情をし自分の仕事に戻ったが、佐世保中尉はブツブ
ツと小声で文句を言っていた。
 彼女と今夜寝ることになっていたその男は、今夜はゆっく
りと一人で寝ることができるだろう。

 気のせいか、特務艦はブリッジのドヨンとした空気に影響
されたのか、特務艦自体も元気が無かった。目的地である
『FF界系』の第7世界までの道のりは長い。

 そんな特務艦の前方に大きな艦影が見えた。一瞬、ブリッジの全員がまた敵かと身構えたが、次の瞬間には肩の力が抜けた。なぜなら、すぐに味方だとわかったからだ。しかし、肩の力が抜けたのはそれだけの理由ではなく、その艦はひどい有様だったからだ……。
 その艦は、艦体のあちこちから黒煙が上がり、ボコボコに破壊されていた……。ノロノロと動いているだけでも奇跡といえた……。