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CROSS 第4話 『嫌な任務』

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 司令官室は、エレベーターを降りてすぐの場所にあった。
山口は司令官室には何度も来たり、司令官に直接会うのも初
めてではなかったため、司令官室を前にしてもさほど緊張は
していなかった。正しくは、司令官室の前に司令官の秘書官
が待機している小部屋の前だが……。山口は、ただの秘書官
の小部屋のため、ノックもせずに入った。

 ドアの向こうは、やはり司令官の秘書官の小部屋で、秘書
官の女性が静かに仕事をしていた。その秘書官の女性は、無
表情で無愛想な感じだったが、美人であった。山口は心の中
で、俺もただの無表情で無愛想な感じの男じゃなくて、こう
いう美人の秘書官が欲しいなぁと、下心まるだしなことを考
えていた。
 その女性は、突然ノックもせずに入ってきた山口に少しも
驚かなかった。

「どうぞ、山口少佐。 司令官がお待ちです」
その女性は、すばやく司令官室へのドアの前に移動すると、
静かな声で山口に言った。
「ああ、ありがとう」
山口はそう言うと、司令官室の中に入った。

 その司令官室の室内は、20畳ほどの部屋であった。部屋
の横の半分は、外を見渡せ、安全が確保された特殊な強化ガ
ラスだった。窓からは、基地内を見渡せ、基地の上空を覆う
異次元空間を端から端まで見ることもできた。
 そして、司令官は自分の席に座り、仕事をしていた。

「それでは、失礼します」
秘書官は静かにそう言うと、司令官室のドアを音もなく閉
めた。部屋に一瞬、静寂が訪れる。
 司令官は、仕事をやめ、顔を上げ、手招きし山口を近くに
呼び寄せた。
 その司令官は、パーマをかけてある茶髪をした少し若い白
人女性であった。山口たちの軍隊は日本国なのであるが、国
自体が複雑な構造になっているため、山口のような日本人で
はない人種の人間が要職についていることは珍しいことでは
ない。しかし、この司令部は女性が多いものである。フェミ
ニストの連中が知ったら、大歓喜であろう。
 山口はゆっくりとその女司令官の席の前に来た。