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決意も新たに! ライダー!

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1.前編



「みんな、ショッカーが現れた、出動してくれ……」
 おやっさんがライダーチームのアジトになっている、スナック・アミーゴの二階に上がって来た、だが、ちょっと様子がおかしい。
「どうしました? おやっさん、いつもなら勢い込んで駆け上がって来て『出動してくれ!』って叫ぶのに、体の具合でも?」
 ライダーチームきっての頭脳派・ライダーマンこと結城丈二は医師の友人も多く、医学的知識も豊富、まずそっちへ頭が回るらしい。
「いや、そうじゃないんだ、ただ……」
「ただ?」
「現れた怪人は一体じゃないんだ……」
「束になってかかってきたって、俺達はひるみませんよ!」
 パワーファイターで格闘の天才・仮面ライダーマッスルこと納谷剛が胸を張る。
「それがだな……かっぱ男、ツタン仮面、プラナリアン、ガマ男、かまきり夫人、それにモグラ男、全部で六体なんだ」
「それって、全部われわれが倒した怪人ばかりじゃないですか、一体どういうことなんですか?」
「ライダー、俺にもわからないんだ、フー・マンジューの仕業じゃないかと思うんだが」
「おそらくはそうですね……だったらあたしがお役に立てるかも」
 最も新しい仲間、安倍晴子、またの名をアベノセイコ、安倍晴明の血を引く陰陽師だ。
「そうね、お願いするわ、あなたの身は私が守るから安心して」
 納谷剛の愛妻・納谷志のぶ、またの名をレディ9、代々受け継がれる忍術を操るくの一の末裔、しかも結城の科学力を以てその能力は最大限に生かされている。
「みんな、頼んだぞ、だが、くれぐれも油断のない様にな、フー・マンジューはどんな魔術を使っているかわからないからな」
「「「おう!」」」
「「はい!」」


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


 フー・マンジュー、かのフー・マンチューの弟子と自称しているがそれはどうも眉唾物、だが、怪しげな魔術を操ることは確かだ。
 東京ディズニー・シーでの戦いにおいては、魚河岸で購入したスルメイカを伝説の巨大イカ・クラーケンに仕立て上げてディズニー・シーを大混乱に陥れた実績もある。

「なんらかの魔術で死者を蘇らせているんだろうか?」
「いや、中沢は……いや、モグラ男は自爆装置で木っ端微塵に飛び散ったんだ、蘇ったとは考えにくいな」
 モグラ男の改造前の名前は中沢、まだショッカーに勤務していた時代に目をかけていた部下だったこともあって、マッスルは彼の死には心を痛め、自爆に追い込んだ死神博士を許さないと心に決めている。
「それを言ったらかっぱ男は俺が食っちまったからな、あとかたも残ってない筈なんだが」
 かっぱ男はきゅうりの香りを放つ怪人、バッタのDNAを持つライダーをその香りでおびき寄せ、怪力で川に引きずり込もうとしたのだが、ライダーの噛みつき攻撃で倒されたのだ、しかも勢い余ってライダーが残らず平らげてしまったはず。
「ガマ男は四方を鏡で囲まれて、脂汗の流しすぎで干からびたが……何らかの方法で蘇生されたのかもしれないな」
「プラナリアンも可能性はあるな、分裂しすぎで小さくなった所を子供たちとの連携で踏み潰したが、もしかしたら生き残りがいたのかも」
「かまきり夫人は崖下に転落したが……生死は確かめていないな」

 ライダーたちはそれぞれのマシンで現場に急行中も無線で連絡を取り合う、それをレディ9が操るOn×3(オンミツ)号のタンデムシートで聞いていたセイコ。
「おそらく、個々の怪人にそれぞれ別の魔術をかけたとは思えない……人海戦術的な何かだと思う」
「何にせよ、行ってみなきゃわからないってことよ! みんな! 急ごうぜ!」
 マッスルの勢いの良い言葉に、四台のライダーマシンは更に加速した。


ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!


「わははは! ライダーども、雁首揃えてやられに来たアルか?」
 六体の怪人を前に並べ、フー・マンジューは一段高いところで高笑いだ。
「フー・マンジュー! 貴様が何をしたか知らないが、この世に悪の栄えたためしは無い!」
「ははは、そんなのは甘っちょろい戯言アル、この世を制するのは力と数アルヨ、こいつらを倒してから吼えるアル、もっとも、それが出来るならの話アルがな」
「出来るか出来ないか、高みの見物でも何でもしていろ! 最後に吠え面かくのはお前だ! 来い! かっぱ男、お前は俺の栄養になったはずだ、とぉっ! ライダー・パンチ! な……何?」
「ふふふ……どうしたアルか? ライダー、ちっとも効いていないみたいアルが?」
「なんだ、この手ごたえのなさは……」
「プラナリアンと同じ衝撃吸収体なのか?」
「いや、あんなにプュニュプニュはしていない、簡単にへこむんだがすぐに戻るんだ」
「こっちはどうだ? 中沢……じゃなかった、モグラ男、恨むなよ、食らえ! ウエスタン・ラリアット! わ、確かに手ごたえがない、まるで空振りだ」
「ツタン仮面、貴様がいる事はわかっていたからな、ライダーマン・マスクはサングラス仕様にして準備して来た、黄金の目晦ましは効かないぞ、とぉっ! う、確かにこれは……そうか、この手ごたえは……」
「何かわかったのか? ライダーマン!」
「こいつら、ソフビ人形だ」
「あの子供の玩具のか?」


「わかったわ! フー・マンジューが使っている魔術が」
 戦闘の矢面には立たず、少し引いた岩陰から見守っているのはセイコとレディ9。
 身体的には普通の人間に過ぎないセイコの身の安全を守りつつ、フー・マンジューの術を見破って対策を立てようという作戦だ。
「どういうこと?」
「ソフビ人形は市販の玩具と同じ、メーカーに等身大の人形を作らせたに過ぎないわ、おそらくはメイド・イン・チャイナの」
「だったら動いてるのはなぜ?」
「降霊術よ、フー・マンジューはそれぞれの霊を呼び寄せて人形に宿したのよ」
「だけど……ソフビ人形じゃ戦闘力はほとんどないんじゃない?」

 三人ライダーも当然レディ9と同じ事を考えた。
「ソフビ人形だったら脅威ではないな、多少闘い難いだろうが……フー・マンジュー、こんな物で我々に勝てると思っているのか?」
「わかってないアルな、かまきり夫人、やるアル」
「いちいち言われないでもわかってるわよ、シャァッ!」
「うっ、マフラーがスッパリと……鎌は本物か!」
「やっとわかったようアルな、それぞれの武器は本物アルよ、その上肉体はないからダメージは与えられず、疲れ知らずで痛みも感じないアルよ」
「うっ! 皿手裏剣か!」
「くそっ! キングコブラ攻撃ができるのか!」
「しまった! 再生能力を備えていたとは!」
「うぐっ! 至近距離からのぶちかまし、効くぜ!」
「しまった! 長い舌でアタッチメントアームを封じられた!」
 ライダーたちは苦戦を強いられる。


「セイコちゃん! 何か打つ手はない!?」
「あるけど……それにはこの場を離れないといけないの、このままじゃライダーたちが危ないわ、加勢しないと」
「大丈夫、簡単にやられる様な人たちじゃないわ、それにダーリンとはテレパシーで繋がってるから戦況はいつでも伝わる……どうすれば良いの?」
作品名:決意も新たに! ライダー! 作家名:ST