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ホットスポット

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 どうやら‥この二人は夫婦らしい。私に聴かせるように話しだした。
「19年前‥私達は息子とこの街に引っ越して来ました。田舎から出て来たものですから、息子にとっては何もかもが珍しいモノばかりだったようです」
また女の方も私にまた笑いかけながら言った。

「この街に来て、一番初めにお気に入りになったのがアナタなんです。アナタは季節毎に洋服を替えて、息子の目を楽しませてくれました。また息子はここに来る度にアナタに挨拶をしました」
「この街に来て初めての祭りがありました。私達もその祭りに参加したのですが。息子の手をしっかりと握っていたのですが、あまりの人混みに息子と私の手が離れてしまいました」女の方が少し涙ぐんだ。
「私も主人も息子を探しましたが‥また祭りの役員さんも息子を探して下さったんですが。息子はそれでも見つかりませんでした」

迷子はよく見かけるが‥20年経つからな。私も頭の中の記憶をたどり始めた。
また夫婦が話し出した。両親の話しを要約すると19年前に、祭りの最中に親とはぐれた5歳の男の子がいた。男の子は人混みに押された‥辺りを見回すが父と母の姿がなく泣きながら道を歩いた。歩き疲れて立ち止まった時に目に入った所が‥
「あぁ‥お母さんと来たお店だ」
見覚えのある店が男の子の目に映った。男の子の足取りは軽くなり店に向かって歩き出した。そして私に話しかけたそうだ。

‥思い出したよ。この20年間で迷子はよく見るが‥私のそばで眠った迷子は今まで1人だった。また私にもたれて眠った子だな。またその寝顔がかわいかったな‥
あの男の子の親たちかい。私に話しかけている夫婦連れは‥
作品名:ホットスポット 作家名:楓 美風