満たされぬ心
4
もうこの状態に見切りをつけなければいけないのだろうか?
二人でいる時間が重圧過ぎて、私は精神的に不安定になっていた。
俊樹もこの時間は前よりも一層‥表情が暗くなった。
そしてすぐにソファから腰を浮かし、自分の部屋に行こうとする。
私はもうこの状態が耐えれないようだ。感情が抑えきれなくなった‥
「もう‥私は必要ないの?あなたの心に私は居ないのね」
泣くまいと思ったが‥私の目から涙が伝い落ちた。俊樹は泣いた私を見たが。
何も言わずにドアを閉めてリビングを出て行った。それが俊樹の返事だと思った。
「‥わかったわ」私は両手で顔を覆い咽び泣いた。わかっていた答えなのだけど。
私は身の回りを小ぶりのボストンバックに詰めて‥家を出た。
駅まで行き電車に乗ったのだが、行く先は決まっていない。
実家に帰る訳にいかない。もう弟家族がいるから‥母には頼れない。
「どうしよう‥これから」深いため息をついた私だった。
その時だった‥私の目の前に男性が立っていた。
「どうかされましたか?お顔の色が悪うございますよ」
私に話しかけてきたのは老人だった。年は70歳ぐらいだろうか‥
気がつくと‥私は小部屋にいた。テーブルには湯気の立った紅茶が入ったカップが置かれていた。暖かいと思ったら‥薪ストーブが炊かれていた。
「ここ‥どこなの?私はイツ‥」辺りを見渡した私だった。
その時だった‥室内の照明が暗くなった。また室内の一角にスポットライトが当たった。
私は夢を見ているのだろうか?目の前にいるのは私自身だったから。