満たされぬ心
3
麻里子さんって誰?親戚や身近な人に心当たりのない名前だ。
私は考えたがどうも、その名前に違和感を覚えた。
それから‥俊樹の様子が変化していったのだ。
いつも、同じ帰宅時間が遅れだした。
それが数回続き‥今度は「夕食」が要らなくなった。
結婚してからは、夕食は時間が前後しても二人で食べていたのに。
それが1週間の内に2回も夕食が要らない日があった。
俊樹に1度聞いたことがあった‥
「仕事忙しいの?それとも接待なの?」と‥
「うん。年度末だから」と返事が返ってきた。
今年のGWだろうか?珍しく‥俊樹が休みの最中に1人で外出した。
帰って来た時には、片手にはノートパソコンの箱を持っていた。
そしてそのまま、自分の部屋に入って行った。
その日から、俊樹は自分の部屋に籠ることが多くなった。
私ももう少し聞けばよかった。何をしているのかを‥
また結婚して18年目では、新婚時代のようにいかない。
また新婚時代のように、俊樹に甘えることも‥もうできない。
また‥私にはプライドというものがあったらしい。
俊樹の部屋のドアに耳をつけて、中の様子を伺うことはしたくないと思った。