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ゴースト・ワイフ

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 僕は、今悪戦苦闘中である。ホント‥悪戦の悪が3個ついてもいい。それぐらい苦戦していた。いつも妻任せで‥ふたごが赤ちゃん時代は多少なりとも育児をしたが、家事はノータッチだった。忌引が終わって明日から出社と言う時に、様々な事が発覚した。

 ふたごの娘の沙希が僕の所にやってきて、連絡ノートを見せる。この頃の小学校は連絡ノートの毎日何か書いているそうだ。生前‥妻がそんな事を言ってたのを思い出した。連絡ノートを見て僕は驚きの声を上げた。
「エ‥こんなの要るの?パパ作れないよ」
「だよね‥パパぁ‥どーしよ」
「どーしよって。エエっと古タオルなんかあるのか?ソレにパパはお裁縫なんてした事がないぞ。ゼッケンつけだってさ、何でママが‥」
言いかけて黙ってしまった。沙希の目に涙が溜まってきたから‥

「だ‥だって。その連絡ノート見せる前に‥ママ」目をこすった。
「ご‥ごめん!パパが悪かった‥泣かないで。パパがするから」
泣いた娘の頭をなでながらまた僕も泣いてしまった。もう泣かないと決めたのに。

「イッデェ‥」自分の指に‥フゥフゥと息を吹きかけた。
「だ‥大丈夫?パパ」息子の翔太が心配そうに見る。
「パパ‥いいよ。もう‥先生に言うから」娘の沙希が赤い目で僕に言うが‥
「大丈夫‥ゆっくりやればデキるから。もう寝な‥朝までには完成させるから」
ふたごの子供達は‥部屋に帰って行った。

 私はまた‥智の横に座った。子供達が部屋に帰ってから‥針で指を突き刺しても。声を押し殺して痛さを堪えている。手先があまり器用でないのに‥ムリしちゃって。でも‥ムリをしないといけないんだ。これからも‥この先もずっと。

 肉体はなくなっても、不思議な事に涙は出るんだな。私は‥この1週間ずっと泣いている。声を出して泣いても、智達には聴こえないが。

 あ‥また突き刺した。指がボコボコになるよ‥智さん。見てられないわ‥でもそばを離れたくないから、智が指を針で突き刺す度に顔を背けながら、体操服にゼッケンを縫い終わるまでそばにいた私だった。

 私は智も寝静まってからキッチンに入った。何もデキないのがわかっているが、私はどーしても確かめたい事があった。マンガや雑誌で読んだことがあるのだが、信憑性にいささか欠けるのだけど、実行してみようと思った。
作品名:ゴースト・ワイフ 作家名:楓 美風