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哀しい夕暮れ

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 それから秋が深まり‥ますます夕暮れがキレイに見える季節になった。私はオフィスを定時で退社した。オフィスのビルを出て歩き出したて、交差点で信号待ちをする。以前の私なら‥夕暮れの時間が嫌いでオフィスに残っていた。そして夕暮れが終わってからオフィスのビルを出たものだ。

 でも今は違う‥

 交差点の青信号が変わった。私は人の波に乗って真っ直ぐに歩き出す。交差点の中ほどで‥私は笑顔で手を振った。

 その先には、父と母が笑顔で私に手を振り返してくれたから。二人の顔が夕暮れに赤く染まった。7歳の時に‥夕暮れが始まると共にいなくなった母はもう消えることはない。今‥私の目の前に父といて幸せそうに笑っているのだから。

 そして、私の中の哀しい夕暮れは、嬉しい夕暮れに変わった。 完
 


 


 
 
作品名:哀しい夕暮れ 作家名:楓 美風