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詩⑫

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晴天の下 騒めき カラカラと下駄鳴らす
僕らの街の毎年の 風物詩 宴に祭り
突き刺すような暑さの中 手を繋ぎ人混み搔き分ける
しつこい位「あついね」って 伝え合う

慣れない恰好の私に 君は少年の様に頬を染めた
滲む手と手を強く握り合い 露店で買った
一つの物を二人でいそいそと分け合う
人混みに紛れ口付けを交わし「おいしいね」って笑った

僕はこの夏恒例の行事が苦手だった
道は混むし 関係ない人間も巻き込まれる
ゴミは増えるし 落ちたアイスがヘドロみたいで
いつも遠目から見ていた 「早く終わればいいのに」

けれど私はこの日のために正装し 16時の待ち合わせ前
子供みたいにわくわくした 愛する君と回る行事は
一年に一回なんて勿体無い位だった
あっという間に時間は過ぎたけれど 私は温かいものに満たされた


子供の頃 煌く飾り 美味しい綿あめりんご飴
まるで有名なテーマパークに来たみたいに
声出して大はしゃぎした この夏の祭り
それはそれで 素敵な思い出の一つだったけれど

私には君とのこの夏祭りが人生一番だよ
あっという間に記録を飛び越えてしまった
牛タンの肉汁で汚した浴衣も あほみたいに笑い飛ばせる位
来年もって確証も無い約束 一途に天の川に願ってみた


作品名:詩⑫ 作家名:sor