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遅くない、スタートライン 第3章

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第3章(7)

美裕さんの家の車庫に、俺は車をパーキングさせた。パーキングした後に、車庫から家を見渡した俺だ。この前は美裕さんを送り届けて、そのまま家に帰っちゃったからさ、家の玄関しか見てなかった俺だ。車庫も2台停めて余裕があるスペースで、また車庫の中にはドアがついていて、そこから家の中に入れるようだ。俺が車のパーキングが終わった頃を見計らって、美裕さんの声が車庫に響いた。
「MASATO先生…パーキング終わりましたか?」
「うん…えぇ…どっからしゃべってるん?美裕さん」
美裕さんの笑い声が聞こえた。どうやら…俺の反応が面白かったようだ。

「車庫の入り口にモニターがあるでしょう。そこです…家の中のモニターと連結してるんです。車庫出られたら、右側に芝生の小道があるんでそのまま進んでください。突き当りが玄関です」
「うん…わかった」俺が車庫から出たら、自動で車庫のシャッターが閉まっていった。

言われた通りに、芝生の小道を進んだら玄関先に明かりがついていて、美裕さんが玄関の前に立っていた。
「どうぞ…どうぞ!中に入ってください」美裕さんは俺を手招きした。

玄関で靴を脱いで、出されたスリッパを履いて美裕さんについて行った俺だ。
「部屋と部屋が結構…距離あってキッチンとリビングが一番奥にあるんです。2階にも部屋があるんですが…私は1階で寝起きしてまして、2階は物置部屋なんです。この家…外装みました?古いでしょ」美裕さんは俺に言った。

「うん…でも中はすごく綺麗だね。リフォームしたん?」
「はい…ここは亡くなった両親が住んでいたんです。私も20歳までここに住んでいて…両親が亡くなってから姉が家族で一時的に住んでたんですが、ずっと長いこと使ってなくて、私がここに移り住む前にリフォームしてもらったんです」
「ご両親いらっしゃらないんだ…いくつの時に亡くなられたの?」
「私が9歳の時でした。姉と兄がいますよ。私と兄は…姉に育ててもらいました。駅前の東側のマンションにいます。時々…ここに来ますもん」
「そうなんだ…ごめんね。知らないとはいえ…」俺は美裕さんに頭を下げた。
「イエイエ…お気になさらないで」美裕さんは俺に笑ってくれた。

俺は美裕さんとの時間がとても楽しくて、ハイテンション上体で車を運転して帰ってきたんだ。よく事故起こさなかったよ。俺 ( 一一)

今日の晩御飯は、美裕さんがアレルギー食をアレンジしたカレーライスだった。それがすごく美味くて、付け合わせのサラダにデザートのシャーベットもメチャ美味くてさ。お土産に美裕さんが焼いたドライフルーツの入ったパウンドケーキまで頂いて、夢心地で帰ってきたんだ。食事とデザートの合間にたくさん話をした。美裕さん宅が居心地が良くて、気がついたら21時を回っていた。美裕さん…今日は意識を失って倒れたのに、俺は調子に乗りすぎたかもしれない。でも、美裕さんは車庫の前まで俺を送ってくれて、

「久しぶりに楽しい夕食でした。MASATO先生ありがとうございます。また…良かったら来てください。今度はアレンジじゃなくて!美裕お手製料理食べてください。あぁ…ホント楽しかった」とちょっと上気した顔で笑った美裕さんだった。

美裕さんとの会話の中で、両親はもうなくなっていて、近くに住んでいるお姉さんとお兄さんがいるということと、美裕さんが3年前まで神戸の洋菓子屋さんで働いていたこと。アンタ…聞いて驚いたよ!俺でも知ってるよ…神戸の老舗のケーキショップだ!それもパティシエで8年間働いていたと!20歳から8年間働いてたそうだ。また…俺にもこう言った美裕さんだ。

「だから…動き出したんだ。養成スクールも同じで、今度は素直に自分の書きたいこと、思ったこと書こう!あ、もちろんそんな甘くないことわかってますよ。両親が遺してくれたこの家で、再出発したいんです。私…」と美裕さんは言った。