小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

「歴女先生教えて~パート2」 第四十一話

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
美穂の世界史授業は、東南アジア・日本から再びヨーロッパに移る。

「九世紀には製紙技術を手に入れたイスラムで大翻訳運動が起こるの。アラビア語で蓄えられたギリシャ・ローマの古典は、その後のヨーロッパでのルネサンスを準備した。また、イスラム世界は、トゥルクマーン(中央アジア、西アジアのトルコ系民族集団の呼称)の優れた軍事的能力に目をつけ、マムルークと呼ばれる軍人奴隷を登用するの。体力と知力に優れた子供を買ってきて、教育を施し軍人に仕立て上げる。後にこのマムルークたちは次々と独自の王朝を建国し、これから500-600年にわたって中央ユーラシアで大活躍する。
唐の国勢が衰え、滅亡に向かう頃西ヨーロッパではフランク王国が唐同様に衰亡し、ヴァイキングの活動が活発になるの」

「先生、ヴァイキングって海賊ですか?」

「最初のヴァイキングは修道院などを襲って財宝を奪っていた。宗教施設は日本でも同じなんだけど、祟りがあって怖いとされていたのに、大修道院(イングランドのリンデスファーン修道院など)ともなると財宝があるから、祟りより魅力が勝るのね。学者の中には、こういった襲撃はシャルルマーニュのキリスト教圏拡大に対する反抗の一部だと解説している人もいる。いずれにせよ、ヴァイキングとは入り江(Vik′フィヨルド)の人という意味よ」

「海賊ではなく、盗賊だったのですか?」

「スカンジナビア半島やバルト海沿岸に住んでいた人々のことを指すの。ノルマン人とも呼ばれるわ。イングランドを支配し、フランス北部にノルマンディー公国をつくる。東に向かったヴァイキングはロシアにノヴゴロド公国やキエフ大公国を建てるの。
ヴァイキングが海賊と呼ばれたことには理由があるのよ。彼らは食糧不足を補うために、魚と穀物を交換しようとヨーロッパ沿岸やイングランドに出掛けたのだけど、粗末な身なりの彼らを好意的には迎えなかった。魚を分捕られて追い返されたり、交換した小麦の袋の中に半分小石が詰められていたりしてひどい目に遭わされた。
そこで彼らは真っ当な交易を行なうためには武力が必要だと知った訳ね」

「交易だけではなく武力でそこの土地に侵入して定住したのですよね?」

「そうね、地球が温暖化したと言っても彼らの住んでいる地域は冬には氷に閉ざされる。暖かい南への民族移動は夢だったのよね。そこには豊かに実る台地があり、冬でも流れる川があり、水浴びが出来る太陽が降り注いでいるからだと思う。フランク王国に来たヴァイキングは侵略を止めるという条件と引き換えに沿岸部に土地を与えられたの。そこがノルマンディー公国になった」

「フランスなのにノルマン人の場所という意味なんですね、ノルマンディーは」