真一君のバレンタイン
「一応、言っとくけど…」
クールダウンした桔葉さん。
再びソファーに腰を降ろしました。
「葉月ちゃんは クッキー作りの件、借りを返すって事で 乗り気なんだからね?」
真一君が、訝しむ視線を返します。
「借りって…何?」
「お揃いマフラーのデートが…バレンタインから1週間遅れただけで、実現した件。」
「う…」
「余裕がない葉月ちゃんに代わって、そのパートナーに マフラーの編み方を、懇切丁寧に 解り易く教えた人は、だ・れ・で・しょう?」
「・・・」
「誰かさんが上手く編めなかったマフラー、何とかリカバしてあげた実績もあるし。。。」
口をパクパクさせるだけで、何も言えなくなった真一君。
桔葉さんが、意味ありげに微笑みます。
「そう言う事情を踏まえた上で…まさか、葉月ちゃんを手伝わない選択をするなんて事、しないわよね? し・ん・い・ち・さん♪」
作品名:真一君のバレンタイン 作家名:紀之介