真一君のバレンタイン
ご挨拶ねぇ。
「いらっしゃい。」
外向きに開かれる玄関のドア。
出迎えた人物を見た瞬間、真一君が不機嫌になります。
「…何で桔葉?」
「いきなり、ご挨拶ねぇ」
「葉月ねーちゃんは?」
姉の居場所を確認された桔葉さんは、秘事を明かすかの様に呟きました。
「ある男性に、会いに出かけてる。。。」
「…」
「気になる?」
「お気にの店員さんを…ドラッグ島津に見に行っただけでしょ」
「─」
「道野さん だっけ? 葉月ねーちゃん、迷惑かけてないと良いけど…」
桔葉さんは、自分が望む反応が返って来なかった事に、舌打ちします。
「何で…知ってるのよ!」
「デートの途中に、何回か 連れて行かれたからね」
「…」
「僕に…ヤキモチでも、やかせようと思った訳?」
「─ そうだけど?」
「相変わらず、性格悪いな。キキチは」
不本意な仇名で呼ばれ、桔葉さんはムッとしました。
「キキチって、呼・ぶ・な!」
「だったら、年上の僕を、シンちゃんって、呼・ぶ・な!!」
「…葉月ちゃんだって、年下だよね?」
「─」
「なんで 葉月ちゃんが、シンちゃんって呼ぶのは、良い訳?」
「そんなの…葉月ねーちゃん だからに、決まってるだろ♡」
「…バカップル。」
作品名:真一君のバレンタイン 作家名:紀之介