真一君のバレンタイン
「…葉月ねーちゃん」
暫く様子を見ていた真一君は、恐る恐る探りを入れました。
「ね、ねーちゃんって呼ぶの…止めてくださいって、何度も言ってますよね? 」
「そろそろ…落ち着いた?」
頷く葉月さん。
安堵した真一君の前で、突然立ち上がります。
「それじゃあ…早速行きましょうか。」
「…え?」
「私の家にですよ!」
「え…は、葉月ねーちゃんの家に? 何で??」
「シンちゃんは…バレンタインに、私とお揃いのマフラー したいんですよね?」
「そ、そうだけど…」
「私1人でバレンタインまで確実に編めるのは、シンちゃんにあげるマフラーだけです。」
「…」
「14日までに、もう1本マフラーが必要なら、シンちゃんにも編み方を覚えてもらって、ある程度は手伝ってもらわないとですから!」
作品名:真一君のバレンタイン 作家名:紀之介