至極当然
「お客様、準備が出来ましたので、ご案内致します」
私は、オフシーズンを狙って旅行をする主義だ。
今日も、さして待たされる事もなく、転送装置に案内される。
「それでは、お入り下さい」
何とか両手を広げられるぐらいの広さの室内に、私は入った。
その後ろで、扉が静かに閉められる。
「気を付けの姿勢で、床の描かれた円の中にお立ち願えますでしょうか?」
転送装置の内部は、縦置きした大きな円柱の様な感じだ。
「それでは、転送のスキャンを開始します。目をお閉じ下さい」
何処かにあるらしいスピーカーから、声が流れる。
それを切っ掛けに、閉じた目にも明るさが伝わる光が 天井付近に現れた。
壁に沿った形の光の輪。
天井から床までゆっくりと降りた輪が、再び天井に戻った時に目を開ければ、そこはもう目的の土地だ。。。