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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~パート2」 第三十七話

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「そうね、そうだといいんだけど」

「ええ?違うんですか?」

「自分たちに都合の良い、これからの日本のために都合の良い歴史が編纂されたという事になるわ。少し補足するとね、天皇家に嫁ぐいろんな豪族たちの娘が増え続けると、母方の外祖父がたくさん出てきて、外戚の専横につながるとの懸念から、おそらく天皇家は皇族と結婚するか、特定の豪族としか婚姻関係を結ばないように考えたと思うの。蘇我氏はそのために選ばれた豪族だった。白村江の戦いの後、天智(てんじ)天皇(=大化の改新で中臣鎌足と共に天皇家の主権を取り戻した中大兄皇子のおくり名)は都を大津に移し、あとを継いだ息子大友皇子が弟の大海人(おおあま)皇子(後の天武天皇)に討ち取られ、天皇家の勢力図が変わった。壬申の乱と呼ばれる。その天武天皇が正妻にしたのが、うののさららという天智天皇の娘で母親は蘇我氏の直系だった。
夫の天武が亡くなると後継ぎが未熟だったため自ら即位して、持統天皇となる。彼女は極めて優秀な女性で、天武治世の時から政治に参画していたと思われるの。
古事記の天照大神のモデルになったと先生は考えているわ」

「ええ?それって歴史を自分で作ったという事になりませんか?」

「これからの国づくりに必要なモラルとか、風習とか、まだ法律で政治を運営してゆくという基盤が出来てなかった時代に、律令制度を普及させるために古事記という物語を作る必要があったという事なの」

「それは自分たちの繁栄のためのデザインだったという事になりませんか?」

「うん、全くその通りよ。鋭い指摘ね、望月さん。先生はその事よりもっとこの時代の歴史で注目して欲しいことがあるの。それはね、持統天皇のあと一人置いて、妹の元明天皇(息子草壁皇子の妻=あへのひめみこ)が即位し、続いて孫の文武天皇の姉に当たる元正天皇(氷高=ひたか皇女。母親は元明天皇、独身)が即位し、一つ置いて、ひ孫の聖武天皇の妻である孝謙天皇が即位したという流れよ。一般的には、次の男性天皇が成人するまでの間に合わせと言われるけど、そうじゃないの。彼女たちは持ち前の才能と人望で政に就いた。もちろんそこには優秀な知恵者が取り囲んではいたのだけど、単に能力だけでは人の上には立てない。それは今も同じよ」

美穂は女性もこの時代では尊敬され、政治力があったという事が言いたかったのだ。