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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~パート2」 第三十七話

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「六世紀から七世紀にかけての日本、中国、朝鮮半島の歴史を見てみると、律令国家として体制を作り上げてゆく必要性が見えるの」

「朝鮮半島の勢力争いが盛んだった時代ですね」

「そうよ、望月さん。高句麗・新羅・百済の三国から新羅による統一へと向かう時代ね。日本は頻繁に使節を送っていた。当時日本という名前ではなく倭国(わこく)と表記されていたのでそう言いますが、百済からの要請に応じて半島に軍を送ったの。そして出先機関も置いた(任那=みまなの日本府と言います)
百済からは見返りとして仏教と技術体系(寺院・仏像・経典・仏具・漢字など)を倭国へ贈ってくれた。
中国が唐になり、帝国としての力を蓄え、朝鮮半島が新羅になると任那の役割は果たせなくなった。そして新羅に追いやられた百済を応援するために倭国は大軍を今で言う錦江河口(きんこうかこう)の白村江(はくすきのえ)に出陣させて、唐と新羅連合軍と戦い(663年)完敗する。
そして百済は滅亡、倭国は敗戦処理に頭を痛める」

「そのあと日本は唐と新羅に攻められるのですか?」

「いいえ、その恐れはあったけど、上手く立ち回ったという事なの。唐からやって来た郭務悰(かくむそう)という将軍に唐を真似て脚にピッタリと合ったズボンの原型になるものを穿いて、椅子に腰かけて机に向かい、役人たちは対座したの。つまりね、自分たちは野蛮人ではなく、皆さんと同じ胡服(こふく)を着て生活していますとのアピールね。明治維新にヨーロッパの文化をとり入れて、文明国をアピールした鹿鳴館と同じ発想というわけ。さらに、自分たちのアイデンティティを立て直し、相手に知ってもらいたいとの思いで、倭国の歴史や民族のことを本にまとめたの。何だかわかる人?」

「700年ごろの本ですよね・・・古事記ですか?」

「正解、さすが望月さん優秀だわ~」

「では日本書紀もそうなのですね?」

「そうなるわね。唐に倣って律令体制を進め、唐の都長安に倣って都を建設する計画も構想した。これら一連の仕掛けを考えたのは、天武天皇や持統天皇とその知恵袋だった藤原不比等(ふひと=史とも書かれる)だったと推測する。白村江の敗戦が結果的に倭国を強いものにしてゆくの。やがて唐が衰退して続けていた遣唐使(朝貢使節)も菅原道真の進言で廃止になった。堅苦しい衣服や生活態度から解放されて、国風文化が発達したと言われているわ」

「では先生、古事記や日本書紀にはそれまで言い伝えられてきたような歴史が書かれてあるというわけですね?」