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月とコンビニ
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BL~Butyo Love~

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BL~Butyo Love~
【著】松田健太郎



●強風が吹くオフィスビルの屋上

新発田   なんでだよぉーーーー! なんでなんだよぉぉぉ!
大晦   そ、そんな叫ばないでくださいよっ
新発田   なんでだぁぁぁ! なにがだめなんだぁぁぁ!
大晦   ちょ、警備員さん来ちゃいますってっ
新発田   お願いだよぉ……
大晦   部長っ! 泣かないでください!
新発田   一体私の何がダメだと言うんだね……年齢か、年齢がダメだというのかね。
大晦   いえ、年齢というわけではないんですよ。部長がしっかりした大人だということも分かってますし、仕事に関しても頼りがいがあります。だから僕は部長を尊敬していますよ。
新発田   なら、何がダメなんだ。私は五十になるまで仕事に打ち込んで、多くの信用と実績を積んできた。家庭を省みるなんてことはしなかったが、それは今まで独身だったからだ。老後の貯金もあれば、何不自由なく暮らせる年収もある。
大晦   ええ、知っています。ですが、それでもダメなものはダメなんです。新発田部
長、いいですか。落ち着いて聞いてくださいね。僕は部長を否定してダメだと
言っているわけではないんです。何事にも順番があると思うんです、僕は。
新発田   順番とはどのようなことを? 私はしっかりと、大晦君にお願いをしているではないか。一体何が問題なのか私にはわからなくなってしまったよ大晦君んんんんっ!!
大晦   ちょ、部長、スーツが破けますって、ちょ、引っ張らないでくださいっ。ひっ
ぱ、ひっぱる、な!! ゴラァ!!
新発田   ひぃぃっ
大晦   すみません、取り乱しました。
新発田   君そんな声出せたんだね……。
大晦   ええ、まぁ。恥ずかしながら学生時代は少々突っ張っていたもので。
新発田   あ、そう、なんだ。意外だねぇ。いやはや、ギャップだねぇ。ギャップ萌えってやつなのかい? これは。
大晦   そんな言葉どこで覚えたんですか。
新発田   若い新入社員が入ってくるからね、着いていこうと必死に勉強だよ。ちなみに私にギャップ萌えはあるかい? 言葉として学びはしたんだが、どうにも、実感を得られなくてね。大晦ツッパリ君と大晦真面目社員君のギャップは掴めたんだがねぇ。
大晦   現在目の前で起きてますよ、ギャップ。ギャップというかこれはもう別人と言
ってもいいと思いますけど。
新発田   本当か! ではそのプレゼン資料を明日の十八時までに用意してくれ。会議室は私が確保しておく。プロジェクターは必要か? もし必要なら貸出の手続きが必要だな。私がやっておこう。君は資料の制作に専念してくれ。急な仕事ですまないが頼む。そうだ、君、明日は午後からお得意さんへの営業が入っていたね。ちょうど私も近くを周るから君の代わりに行っておくよ。なぁに、心配するなあそこを君に引き継いだのは私だろう。ではプレゼンは明日十八時ということでスケジュールを調整しておくよ。
大晦   新発田部長、今は仕事なのですか? それとも私にプライベートなお話だった
のでは? 公私混同を私は好みません。はっきりとどちらなのか分けていただ
きたい。
新発田   すまない、つい興奮してしまったようだ。プレゼンの件はキャンセルで頼む。それで私のギャップというのは。
大晦   ギャップではなく別人ですけど、仕事中とその他の時の人格ですかね。そんな
ことよりも、さっきの件ですが。やはりお断りさせていただきます。
新発田   なんでだぁぁぁ! なんでなんだよぉぉぉぉ! 私がこんなにも思っているのにぃぃぃぃ!
大晦   すみません。私は部長の思いに応えられません。
新発田   では、友達からでいいから。友達になってくれないか。
大晦   さすがに上司と部下で友達というのは……スーさん浜ちゃんじゃないんですか
ら。
新発田   そうか、釣りか。釣りに行けばよかったのか……。
大晦   それも違います。とにかく自分の思いは直接伝えてください。
新発田   それができないから大晦君のお願いしてるんじゃないかぁぁぁ! ちくしょぉぉぉ大晦君のばかぁぁぁぁ……。
大晦   んだから引っ張んなッつってんだろぉがよぉ!
新発田   ひぃっぃっぃっぃっぃぃっ
大晦   五十にもなって告白すらできねぇおっさんが明日(あず)咲(さ)を落とせるわけねぇだろぉ
が! いいか新発田ぁ、直接言えないからって俺にお願いしてなにがどぉなる
ってんだ。仮にお友達から良いですよぉってなったらデートは出来んのか? あぁっ? また俺にデートの仕方を聞いてくんじゃねぇのかよ? 良いですか、部長。僕は意地悪をして断っているわけでもきつい言葉を言っているのでもないんです。部長の為を思って言っているんです。それくらいのこと、自分でできないでどうするんです。泣くのを、やめてください。部長はいつもテキパキと仕事をこなし、どんな状況にも柔軟な対応で切り抜けてきたじゃないですか。こんなことで負けないでください。
新発田   大晦君……。
大晦   部長。がんばってください。
新発田   ……やっぱダメだよ大晦君んんんん! だって私五十だよ? 有尾さんは二十七だよ? 私五十だよ? この差は埋められないよぉ。だからまずは君からさ。
大晦   もうどうにもならないですね。わかりました、呼んできます。だから直接言い
ましょう。
新発田   まってくれぇぇ!
大晦   待ちません。
新発田   終わる、私は終わる、セクハラでクビになる。わぁあぁ。クビになるぅ。
大晦   なりませんから。僕が見ててあげますから落ち着いてください。あぁ、明日咲、今から屋上来てくんない? うん、オフィスの。さんきゅ。
新発田   え、来るの?
大晦   ええ。
新発田   ……わかった。
大晦   そうです。心を決めてください。
明日咲   おまたせ。あら、新発田さん?
新発田   有尾くん。君に話があってね。
明日咲   成(な)都(づ)、話があるんじゃなくて?
大晦   姉さん、まだここ会社だから。
新発田   姉さん?
大晦   え? 部長知ってて僕に話したんじゃないんですか?
新発田   姉弟なの?
大晦   そうですよ。
新発田   だって名字が違うけど……。
大晦   複雑な理由があるんです。
明日咲   ねぇね、なんで呼んだんー?
大晦   ああ、そうだったな。じゃあ、部長。
明日咲   新発田さん?
新発田   有尾さん、私はあなたのことが好きになってしまいました。年齢も大きく離れていますが、絶対に幸せにしてみせます。私の恋人になってくれませんか。
明日咲   ……気持ちは嬉しいのですが、ごめんなさい。
新発田   ……そうですか。ありがとうございました。
大晦   部長、できたじゃないですか。
明日咲   私は……大晦さんの事が好きなんです……。
大晦   え?
新発田   え?
大晦   え?
明日咲   大晦さんが好きなんです。
大晦   だっておれたちは
作品名:BL~Butyo Love~ 作家名:月とコンビニ