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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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珍しいお客様(「お星様とギター」とのクロスオーバー)

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 ある日のこと。私は買い物の帰り道、1人の外国人に声をかけられた。その人は、背が高くて、手脚も長くて、茶髪のボブといった外見の、すごくきれいな女の人だった。私はほとんど英語は分からないんだけど、その人の口から「レストラン」という言葉が聞こえたので、ああ、何かいいレストランを探してるのかなと思って、そうだ、私たちのレストランに来てもらおう、なんてちょっと図々しいことを考えて、
「イエス」
 と答えた。そうしたら彼女は、「ウェア」何とかと言ったので、私は
「マイホーム。カモン」
 と、伝わってるかどうかも分からない英語で答えた。そしたらその外国人、笑って
「OK」
 と答えて、私に付いていった。道中、彼女は何か英語で言っていたけど、私にはやっぱり分からなくて、その人は私の目を見ながら膨らんだおなかを手で表現して、きつそうな顔で両手で袋を持っているまねをした。それから、人差し指を彼女自身のほうに向け、袋を持つジェスチャーをした。何となく彼女の言いたいことが分かった気がした私は、買い物袋を彼女に持ってもらった。
(この外国人の方、すごく、すごく優しい…)


 やがて、私たちはレストランに着いた。
「ただいま」
「ああ、おかえり、陽子ちゃん、と、…ええぇっ!?」
 純ちゃんは、予想外のお客様に、驚きまくった。外国人のお客様も、大きな目をさらに大きく見開いた。
「え、どうしたの?そんなに驚いて」
「陽子ちゃん、この人…ロザリー・メイじゃないか?」
 純ちゃんがまだ驚きの抜けない顔で私を見ながら言った。
「ごめんなさい、私、ロザリー・メイって、分かんない」
「カナダのユニット組んでた人だよ。俺、彼女らの音楽、結構好きなんだ」
 そして咳払いをして、
「アー・ユー・ミス・ロザリー・メイ?」
 と、通じるか分からないような発音で尋ねた。するとその女の人はうなずきながら、
「イエス、アイアム」
 とはっきり言った。それを聞いて、純ちゃんったら、興奮して
「オー、アイム、ファン!」
 なんて言って、手を差し出して、ロザリー・メイという人と握手してた。

 で、興奮が冷めた頃、私は帰り道での一連の出来事を話した。
「へえ、良かったじゃないか。ロザリーは、本当はいい人だからな」
 ロザリーは、日本語がさっぱり分からないみたいで、不思議そうな顔で私たちを見つめてた。
 そんな彼女の様子を見て、私はメニューを開いて見せてあげた。メニューの写真をいろいろ見たあと、彼女はスパゲティーアラビアータの写真を指差して、
「ディス・ワン」
 のようなことを言った。純ちゃんは、
「ワット・ドリンク?」
 と聞いたので、私はドリンクの欄をロザリーに見せた。すると、彼女はカフェラッテの写真を指差して、
「ディス・ワン」
 と言った。注文が決まり、純ちゃんは厨房のほうへ向かった。

 数分後、若い子がカフェラッテを持ってきて、さらにしばらくしてスパゲティーアラビアータを持ってきた。ロザリーは手を上、下、左、右の順に動かして、手を胸の前で組んで目を閉じたあと、目を開けてフォークを手に、スパゲティーを食べ始めた。ロザリーは、食事をする姿も絵になるぐらいに美しかったなぁ。