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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「歴女先生教えて~パート2」 第三十三話

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「そうね、大乗仏教が普及していった過程と似ているわね。パウロは伝え聞いたイエスの話を自分風に組み立てて話をした。もっと言ってしまうと、パウロの考えを説いたという事になる。そして、これがイエスの教えであるという事で新約聖書が作られる。イエスの死から一、二世代を経たAD60年から90年頃のこと。その後キリスト教は、他の新興宗教の利点を柔軟に取り入れて(ミトラス教からはクリスマスやパンと葡萄酒のミサ、イシス教からは聖母子像など)信者を増やしてゆくの」

「やはり布教というのは一般庶民にわかりやすく説かないと広がらなかったのですね。仏教の普及も南無阿弥陀仏と唱えるだけで救われると説いて広がったのですよね?」

「そうよ。余談になるけど、ペルシャ帝国ではどんな宗教が信仰されていたのか知っている人?」

「イスラム教ではないですか?」

「違うの。ペルシャのサーサーン朝の宗教は、ゾロアスター教(拝火教)だったの。紀元前600年ごろにイラン高原でゾロアスターを教祖として生まれた宗教よ。アフラ・マズダという絶対の正義神と悪神の戦いで世界を理解する原始的な善悪二元論を唱えていた。このゾロアスター教はアカイメネス朝の宗教でもあって、ペルシャ人に深く信仰されていたのよ。後になってマニという宗教家が登場して、ゾロアスター教を進化させ、光と闇、霊魂と物質、善と悪などを対峙させる壮大な二元論のマニ教を創出した。マニの教えは瞬く間に広がった。キリスト教にもこのマニの思想が入ってゆくの。
しかし、ゾロアスター教を信じる王がマニを捕らえて、刑死させる」

「宗教は対立を生むのですね。人を救うはずの教えを、なぜ人は殺すことに向かわせるのでしょうか?」

「いい質問ね。人間にとって宗教は哲学であり、生きる糧であったりする。守るべきは人の命であり、反対するからと言って葬り去ることなど許されない。そして、教えと偽って殺人を実行させたりすることは、もはや宗教とは言えないと思うわ。どんな立派な教祖を持つ宗教でも間違った教えを説く指導者がいることが悲しいわね」

ここで終業のベルが鳴った。