小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

陰陽戦記TAKERU外伝 ~拓郎編~

INDEX|6ページ/20ページ|

次のページ前のページ
 

 その翌日。
 その日は日曜日と言う事でゆっくり眠っていた。
 朝食も昼と兼用で済ませるとインスタントコーヒーを飲みながら動物系のサイトを閲覧していた。
 このパソコンは僕が高校生の頃にお年玉で買った物だった。
 少女趣味かと思われるかもしれないけど、休日には僕はこうして動物の映像や画像を眺めるのが僕の至福の時だった。
 今は子猫の画像を見ている。
 生後2週間程だろう、まだミルクしか飲まない、でもタプタプに膨らんだ腹とおぼつかない足取り、小さな耳とつぶらな瞳の猫達がじゃれ合って遊んでいた。
 実家はマンションだし、今住んでるアパートも動物厳禁だから、唯一触れるとしたら病院だけだ。
 早く独立して自分の動物病院を持とう、そして子猫や子犬を沢山触ろう、そう思った。
 だけど動物病院に患畜が来ると言う事は怪我や病気で苦しんでいると言う事、獣医を目指す者ならそんな事を考えてはいけない事だった。
「はぁ…… やっぱり写真で我慢するしかないのかなぁ」
 僕はため息を零した。
 部屋には時計が無い、パソコンの時計が3時を過ぎた当たりだった。
 携帯に着信が入った。画面を見ると美春ちゃんだった。
「はい?」
 今日は何の約束もして無い、でも電話に出てみる。
『あ、拓郎君? ごめんなさい、忙しかった?』
「いやぁ、別にそんな事無いよ」
 美春ちゃんの電話なら…… さすがに診察以外の時ならどんな時でもOKだ。
 先輩なら好きな人から電話が来たらきっと戦いの最中でも核ミサイルが落ちて来て逃げてる最中でも嬉しいとおもうだろうな……
「それよりどうかしたの?」
 僕は聞いてみる。
 すると美春ちゃんは言って来た。
 何と大介が昨日の晩から帰って来ておらず、今さっき親御さんから電話がかかって来たらしい。
 何で美春ちゃんの所に電話がかかって来たのかと言うと、美春ちゃんが借りてるマンションの大家さんが大介のお母さんだからだ。
 大介の家は獣医の傍らマンションも経営している、ただこちらはお母さんの実家から受け継いだ物らしい。
『それで拓郎君の所に行って無いか? って……』
「残念だけど僕の所にも来て無いよ…… 昨日のメールじゃ合コン行って…… ん?」
 僕には心当たりがあった。
 確かあのメールだと『必勝法』がどうとか『陛下に感謝』とかそう言った事が書かれてた。
「まさか…… ちょっと待って!」
 僕はマウスを動かしてあるサイトを閲覧した。
 それは先輩の友達の陛下が管理人をしている『オカルトの館』だった。
 切った石を積み重ねた壁と重い観音開きの扉の前に『話題の心霊スポット』や『目撃談』など多数あるカーソルの中にある『掲示板』を開くとファン(信者)から送られて来たメールに目を通した。
「やっぱり……」
 僕は呆れてため息を零した。

「何でこんな事しなきゃいけないのかなぁ〜」
 そうボヤきながらスクーターを飛ばしていた。
 途中で美春ちゃん供会うと一度大学の駐輪場に止めさせてもらい、大介が言っていた森の方へ急いだ。
 森の入口は日が沈むには早いと言うのにまるで生物の口の様にポッカリ開いていた。
 一応人が入らない様に杭が打ち込まれ、縄が貼られているけど、長い間雨風にさらされて杭は錆び付き縄は傷み、本来縄にかかっていたんだろう『立ち入り禁止』の看板が地面に転がっていた。
「ホントにここなの?」
 美春ちゃんが尋ねて来た。
「ああ、100パーセントの保証は無いけど…… 可能性があるとしたらここしかないんだ」
 僕は部屋で陛下のサイトの掲示板で1つのメールを見つけた。
 ハンドルネームは『BIGMAN』と言って、日付は一昨日になっている、そして内容はこうだった。
『親愛なる陛下へ、とびきりの情報を教えてください、オレの周囲には都市伝説をバカにしている愚か者達が多いのです、そいつらを見返して遣りたいんです、その場所は……』
 連れ戻したらとりあえず殴って良いかな?
 満更嘘って訳じゃないけど、合コンのネタに使いたいからって嘘ついてまで教えてもらうか普通?
 その仕入れた情報を大学で僕に言ったように酒の席で披露し、その後冗談半分で見に行ったに違い無い、それであわよくば女の子を驚かせてナイト気取りでエスコートして良い所を見せようとする邪な考えで…… まぁ『つり橋効果』的な物を狙ったんだろう。
 多分それで何らかのトラブルに巻き込まれたとすれば納得できる。