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陰陽戦記TAKERU外伝 ~拓郎編~

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「良し!」
 斧にして正解だった。
 これなら以前の戦いの経験を生かせるし、斬撃と打撃を両方打ち込む事ができる。
 今の僕の力じゃ大した事は出来ないけど、一点集中させれば鉄だって砕く事が出来る。
 それにいくら外殻は固くとも内部まではそうもいか無いはず、直接陽の氣を注ぎ込めば倒せるはずだ。
 だけど勿論鬼の方も黙ってる訳が無かった。
『ガァアア!』
 鬼も持てる力の全てを振り絞り、光の刃を左右から両手でつかむと膝を伸ばして立ち上がり始めた。
 全く効いて無い訳じゃない、ロジック自体は良かった。だけど奴を倒すには力が足りなさすぎた。
「くっ、ダメ…… なのか?」
 僕は目を閉じた。
 僕1人じゃ何もできない、今までだって先輩達が頑張ってくれたおかげだ。
 結局僕1人じゃ大切な人1人守る事が出来ない、折角僕を信じて力を託してくれた人がいたのに……
 悔しさに胸がいっぱいになり、法力が僅かに弱まりつつあった。でもその時だ。
『諦めるな!』
 僕の耳に…… いや、心に直接誰かが叫んだ。
 そいつの声には覚えがあった。
『お前は自分を含めた全ての命を守ると約束した。その言葉に偽りが無くば、最後まで諦めるな!』
 相変わらずお説教が好きな奴だ。
 でも今分かった。
 先輩はもういないって言ってたけど、そいつは消えた訳じゃなかった。
 ただ僕達は気付かなかっただけなんだ。他もきっとそうだ。何しろずっと僕の側にいてくれたんだから。
 すると僕の全身に力が込みあげ、陽の氣が膨れ上がって爆発した。
『ギギっ?』
 鬼は怯んだ。
 今がチャンスだ!
「うおぉぉおぉおおぉぉ―――っ!」
 全ての力を込めた僕の会心の一撃が炸裂した。
 鬼は頭から真っ二つに切り裂かれた。
『ギャァアアァァアアアァァ―――ッ!』
 鬼が断末魔を上げると切断面から黒い炎が噴き出した。
『アアアァ…… 私が…… 私が、この国を…… グギャァアアァァ―――ッ!』
 鬼の仰向けに倒れると大爆発。
 すると爆炎の中から岩村と合体した無数の魂が蛍の様な淡い光を放ちながら消えて行った。
 この中に岩村もいるんだろう、だけどどれが岩村なのか分からなかった。
「やっ…… た」
 陽の氣が尽きて僕の手からハンマーがするりと落ちるとその場に倒れようとした。
 だけどその瞬間、僕の前にたくましい腕が伸びると僕の体受け止めてくれた
 顔を上げるとそこには石動さんの顔があった。
「よく頑張ったな」
「石動…… さん」
 微笑する石動さんに僕も笑顔で返した。